●更新日 01/12●


沖縄の成人式での暴動、その歴史的背景とは


成人式というと、若者が式会場で暴れたというニュースが恒例となっている。

近年、特に話題になるのは沖縄である。報道されることによって荒廃に拍車がかかるとの理由から、今年はマスコミへの取材自粛要請までなされた。この件について、沖縄の教育事情に詳しい人物から興味深い話を聞くことができた。



沖縄の成人式での暴動は、現在の若者世代の愚行としてマスコミに大々的に取り上げられている。だが、沖縄の歴史を振り返るならば、若者らによる暴動は以前から見られたという。それは、日本政府に対する抵抗の意思表示としてなされてきたものだった。「本来は日本人ではなかった自分たちが、日本によって侵略され支配下となった」、「戦時中も戦後も日本のせいで、米軍による様々な被害を受けてきた」、そういう被害者意識と敵対感情に基づくものであるとのこと。

しかし、そのことは沖縄では知られていても、本土のマスコミは積極的に伝えてこなかったという。情報提供者曰く、政府だけでなく、いわゆる「御用マスコミ」とそれに結びつく各種勢力にとっても不都合な現象だったからではないか、とのこと。この点について真相は定かではないが、様々な理由や力関係が作用していたのだろう。

年月が経過するにつれ、そのような暴動も少なくなっていった。成人式で暴れている若者たちには、先述した過去の暴動のような動機があるとは思えない。成人式では、頭髪や服装の派手な若者らが会場の周辺で集会を開き、警察も出動する騒ぎになる。その様子を取材に来た、本土のテレビ局の下請け制作会社は、これを過去の暴動と重ねて報じようとしたそうだ。米軍基地問題等と関連付けて、成人式の暴動を曲解して扱おうとしているようだったので、取材を拒否したという。



一方で、沖縄の人々の被害者意識や敵対感情は、なくなったわけではない。例えば、定年退職を直前に控えた学校教諭たちの一部は、自身の経験や前の世代から伝え聞いたことを生徒たちに詳細に話し、次世代の語り部を育てていくのだという。教員が定年を迎える時期が近づくと、この行為がなされることを回避しようと各種の根回しもなされるが、あまり成功していないそうだ。

成人式の暴動を面白おかしく伝えるマスコミ報道が過熱する一方で、そうした報道からは抜け落ちている事柄も存在する。そのことは、政治的、思想的にどのような立場から問題を捉えるとしても、決して無視できないだろう。





高橋



◇上記のタグを自分のサイトに張ってリンクしよう!


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事