洗ったパスポートで国境は越えられるか

先日3月1日はインドのホーリー（祝日）。



この日はハイカーストもローカーストも、カタギもヤクザも、オシもメクラも梅毒も、日頃のしがらみを忘れ、染料を溶いた水をぶっかけあって大騒ぎをします。街を歩いていると旅行者であろうと色まみれにされますが、怒るのは野暮というもの。

　私も手ひどくやられました。

問題は、10数時間後にアフリカの某国に向けて出国しなければならないことです。こんなツラで入国管理官の前に立ったら撃たれます。そこで体を洗い、衣服を洗濯していたのですが……、

　やっべ、パスポート洗っちった。

なんてこったい。あわてて宿の主人にドライヤーを借りに行くと、なんだなんだと宿のスタッフが集結。掃除機を持ち出して「水気をこれで吸い取ったらどうか？」、アイロンを持ち出して「これさえあれば一発だぜ」、果ては「知り合いに偽造パスのブローカーがいてな？」などと口々に画期的なアドバイスをしてくれます。インド脳って素敵だなァ。あ、結局ドライヤーはありませんでした。

　べろべろ。スタンプもにじみまくり。

タオルで水気を拭き、一応の応急処置をしたのですが、顔写真もにじむわ、表紙ははがれるわ。うーん、これはひょっとしてかなりまずいんじゃないだろうか。インドは現在テロの影響でナーバスになっていて、出入国の審査は信じられないくらい厳しい。そんなところにのこのこ変な日本人が現れて「いやー、すんません、旅券ちょっと洗っちゃって」などと嘯きながら、河原に放置されたエロ本みたいになったパスポートを提出したら、リアルに日本送還も考えられます。

出国時間は刻々と近づきますが、これ以上状況は好転しそうにありません。くよくよしていても仕方ないので、このパスポートで出国手続にのぞむことに。


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ニノマ