●更新日 05/08●
震災で米不足が起きる?噂の真偽を農水省に問う
3月の大震災で、東北地方の水田が壊滅的な被害を受けたと報じられた。
水田の復旧計画等は発表されているが、今後の米不足を心配する声も多い。こうした問題について、農水省はどのように認識しているのだろうか。同省に取材を申し込み、現状を尋ねた。
・被災した農家の今後は
被災地で農業を営んでいた人々の生活はどうなるのか。農村振興局の担当者によると、農業関係者の雇用については、ハローワークに必要な情報を提供しているという。全国の農山漁村地域の雇用情報、耕作放棄地の情報等を集め、「農山漁村被災者受入れ情報システム」を運用している。
その他、全国農業会議所や日本農業法人協会でも、被災者用の農業求人情報を紹介しているとのこと。一方、ネットを見られる人ばかりではないので、移動ハローワークや壁新聞での紹介も行っているという。
また、地元で農業を再開できる見込みのある地域では、その支援を試みている。津波の被害を受けた水田の除塩作業に、被災した人々が参加して収入を得られるように優先的に雇用するなど、工夫しているという。このような試みと、他の地域で就業する人々の支援との二本立てで、事業が進行している。
・どこで米を作るのか
今回の被災で、水田の十分な確保はできているのか。総合食料局に、この点を尋ねた。まず、東北でも全ての地域の水田が被害を受けたわけではない。そこで、各県内の被害のなかった地域で、作付け量を増やしている。これにより、県内で目標とされる生産量の維持が試みられている。
しかし、福島や宮城では、県内の調整だけでは間に合わないという。そこで、県間での調整が図られている。農家としては米を生産したいが、消費量が伸びにくい状況で、生産数量目標は下がっていた。そのために空いていたり、他の作物の栽培に使用していたりする各地域の水田を、この機会に米の生産に再び使おうというわけだ。
・米は足りるのか
今後、放射性物質の各地へのさらなる拡散が懸念される。そうなった場合、米の生産量が減っている状況で、現在の流通量を維持できるのか。これについては、原発の状況次第のため予測しがたいと、総合食料局の担当者は述べる。
農水省としては、政府備蓄での対応を考えているとのこと。この備蓄は十分にあり、民間にも多くの備蓄があるので、今年は十分に間に合うという。また、来年のための備蓄にも既に対応しているとのこと。東北での作付けが厳しくなった場合には、西日本など被害の少ない場所で来年以降に増産するそうだ。
だが、備蓄米は本当に足りるのかという批判もあり、増産を求める声は農業関係者の間に根強い。その一方で、国が示す計画では、米の減産はさらに進められている。専門家の間でも、意見が分かれているようだ。
米に限らず、自給率を上げることの重要性が叫ばれている。
世界的な食糧不足が進めば、現状のままでは日本は未曾有の危機に陥ると言われている。
しかし、今日も全国で、残飯や期限切れの食べ物が
大量に処分されている。
この点を見直さなければ、根本的な問題解決はあり得ないだろう。
高橋
|