●更新日 05/25●
劇団ひとりを騙した携帯電話詐欺会社のカラクリ
お笑い芸人・劇団ひとりが、携帯電話の通販サイトで詐欺に遭ったと告白した。
ニコニコ生放送の出演時に語った話によると、「白ロムネット」というサイトでiPad2を購入しようとしたが、代金を振り込んだ後に連絡が取れなくなり、消費者センターにも相談したという。また、サイトの「特定商取引法に基づく表記」に記載された住所を訪れたところ、架空のものだったと述べた。
興味深いことに、このサイトのドメイン名に関する情報を検索すると、サイトに掲載されているものとは全く異なる住所が出てくる。そこで、当該の住所を実際に訪問してみることにした。場所は東京都板橋区桜川となっている。
そこはマンションで、入口にある郵便受けを一通り確認してみた。ところが、この企業名もしくは代表者名の書かれたものは見当たらない。苗字を記載していない入居者についても確認したが、やはりそれらしきものは見つからなかった。
もちろん、代表者以外の名義で借りている可能性もあるので、マンションから出てきた人や近隣住民への聞き込みを行う。だが、この件についての有力な情報は得られず、近隣住民の男性が「あそこがネットで話題になってるのは見た」と語るにとどまった。
続いて、このマンションの管理会社に連絡を取った。担当者に事情を話し、当該の企業もしくは関係者が実際にマンションに入居しているか、あるいは過去に入居していたことがあるかを尋ねた。しかし、個人情報に関することは警察等からの要請以外、回答できないとのことだった。
ネットビジネスに詳しい人物によると、ドメイン名を登録する際の各種情報は、簡単に偽装できるという。悪用を防止するために具体的な方法を書くことは控えるが、ある条件に合致する業者を選べば誰もが簡単に実行可能だ。この方法を使えば追跡は困難になる。
今回の問題について、消費者庁にも話を聞いてみた。消費者情報課の担当者は、本件については把握していなかった。概略を説明したところ担当部署に情報を回し、確認を取るという。ただし、当該の企業の詳細について調べるとなると、消費者庁の手には負えないようである。
まずは、実際に被害を受けた人が、警察に名乗り出てほしいとのことだった。警察の刑事課あるいは生活安全課の家事相談等に相談し、詐欺行為だと判断された場合に捜査開始となる。また、この件の法的な扱いについては、特定商取引法の管轄が経済産業省であるため、同省が調査した上でなければ判断が難しいという。
今回の事件の被害者である劇団ひとりは、白ロムネットのサイトが立派で詐欺とは思えなかったと振り返る。
だが、本気で詐欺を働こうとする人間ほど、巧妙に偽装するというのが真実だ。
高橋
|