●更新日 05/28●
事件を見に行く「夢のリニア着工 夢破れる長野県」
リニアは直線ルートで建設決定!
大畠章宏国土交通相は27日、JR東海に対し、リニア中央新幹線(東京―大阪間)を建設するように指示した。これを受け、同社は2014年の着工に向けた作業を本格化させる。
27年に東京―名古屋間を開通させ、45年には東京―大阪間の延伸開業を目指す。最高設計速度は時速505キロ。東京―大阪間を甲府市や名古屋市、奈良市付近を経由して、最短で67分の速さで結ぶ予定だ。
新型試験車両のリニア「MLX001‐901」(山梨県都留市で)
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未だに“反対意見”もある中、東京、中京、大阪と三大都市圏を「高速鉄道」で結ぶ夢のプロジェクトが節目を迎えた格好になった。
超電導リニア方式の営業は世界初。ルートは俗にCルートと呼称されていた南アルプスを直下を貫通する直線ルートで、1962年に国鉄が超電導リニア方式の研究を始めてから約半世紀。1973年の中央新幹線の基本計画の策定からほぼ、40年近くを経て、「リニア中央新幹線構想」は国が後押しする計画となった。
建設費は9兆300億円に上る見通し。JR東海では今後、1県に1駅ずつ設置を予定している中間駅の設置場所や費用の負担について、沿線の自治体との調整を本格化させる。
JR東海は着工を目指して環境影響評価の手続きを開始するが、中間駅位置を優先して長野など各県と調整し、12月にアセス調査入りする意向。
JR東海の広報部は「7月1日から、東海道新幹線21世紀対策本部の名称を“中央新幹線推進本部”に名称変更をします。中央新幹線計画を一元的にこれまでにも増して、強力にプロジェクトを推進すべき組織改正をします。新たな局面を迎えました」と中央リニア開業の早期実現に向け、邁進する考えだ。
1972年、磁気浮上走行に成功したリニア・インダクション・モーター推進によるML100
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JR東海に建設の指示が出される前日の26日には、国土交通省はリニア中央新幹線を国の整備計画として、南アルプスを貫通する直線ルート(Cルート)を正式決定。ルート決定には紆余曲折があり、長野県の県央地域などは諏訪方面に迂回するBルートと呼ばれる「伊那谷ルート」を長年、主張していた。
歴史的に見れば長野県は今回も、貧乏くじを引いたようである。
長野新幹線は現在、上信しか通らないが当初の計画では、松本を通す予定だった。ところが中央新幹線構想が浮上し、それなら中央新幹線が“中信(諏訪地区)を通ることになる”なら、長野新幹線は上信だけ通ればよい。こんな経緯があった。またしても長野県は、完全に“鉄道敷設”計画に騙されたと言えるだろう。
ルート問題は、国交相の諮問機関の交通政策審議会中央新幹線小委員会の判断によるもの。仕方無い。
ある事情通は「上伊那や諏訪地方の建設期成同盟の大半は、Bルートが実現するとは思っていなかった。狙いは俗に言うゴネ得。“長野県民の総意”なんて表向きです。つまり、南信地方に今後、どんな便宜を図ってくれるのか。それだけです。」と明かす。
塩尻駅を境にJR東海と東日本に分割されたことでデメリットを受けた地域だけに、気の毒だとは思う。長野県内は信越本線を除けば単線だらけのところが多い。それらを何とかしてくれ、という話だろう――。
兎にも角にも、巨大プロジェクトは正式に始動した。
鉄ちゃん(画像は全て筆者撮影)
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