●更新日 06/13●
茶葉の出荷規制は正当か?風評問題の核心
福島の原発事故の深刻な影響が、各地に及んでいる。その一つが、規制値を超えた放射性物質の検出による、茶葉の出荷規制問題である。
放射性セシウムの暫定規制値は、1キログラム当たり500ベクレル。生茶葉だけでなく、加工段階にある「荒茶」や、商品として販売される「製茶」にも、この基準が適用されることとなった。荒茶になった段階で、濃度は約5倍になるという。そのため、多くの生産地の茶葉が規制値を超え、出荷規制の対象となった。
しかし、このような措置には納得できないとの声が、多くの生産地から上がった。その一つが、神奈川県南足柄市である。市内にある製茶工場に話を聞こうと試みたが、連絡が取れない状態が続いていた。そこで、地元業者の実態を確認するために、かながわ西湘農業協同組合(JA)の南足柄支店に取材を申し込んだ。
担当者の話では、荒茶の作業自体を現在は中止しているそうだ。作業を行っても製品にならないため、燃料費などがかかってしまうだけである。一番茶は終わり、通常では6月中旬から二番茶となる。ところが、この一帯では生茶葉でも暫定規制値の500ベクレルを超えてしまった。そのため、生産者の多くが諦めているという。彼らも、原発事故の被害者である。
荒茶が規制対象となった背景には、その用途の問題があった。お茶として飲む場合には、お湯によって薄められるため、荒茶の50分の1程度の値になるとされている。しかし、消費者はお茶として飲むとは限らないという点を厚生労働省は懸念して、生茶葉以外にも一律に暫定規制値を適用する措置をとった。
JAの担当者によれば、南足柄市の場合は、製茶工場で加工された茶葉は一般的に、神奈川県農協茶業センターに出荷されるという。ここでブレンドされ、製品として販売されることになる。同センターにも確認を取ったところ、製茶のみの取り扱いであり、荒茶の出荷は行っていないという。
それぞれの担当者に話を聞いて実感したのは、生産の現場では、今回の事態に多くの人々が困惑しているということだ。茶葉の出荷規制について、農林水産省では生産者らを主な対象とした情報を、HPなどを通じて発信している。しかし、それらを読んでも、理解しがたいことがいくつかある。
そのような点について取材した結果、見過ごすことのできない問題が見えてきた。
続きは、ここをクリックしてリンク先へ
高橋
|