●更新日 06/17●
事件を見に行く「健康食品は肝障害につながる!?」
健康食品は“リスク”が伴う
社団法人日本肝臓学会(理事長:小池和彦)の公開講座「身近な肝臓病、肝臓とやさしくお付き合い」が開かれ、200人近くの聴講者が集まった。“健康食品”や“アルコール”といったものと肝臓との関係を、4人の専門医師が分かりやすく講義を行った。今回は、斎藤英胤慶応義塾大学薬学部教授、宜保行雄宜保内科クリニック院長、森脇久隆岐阜大学消化器内科教授、市田隆文順天堂大学医学部付属静岡病院教授(副院長)が肝臓との付き合い方について語った。
講演に先立ち、総合司会を務める“肝臓先生”こと市田教授が挨拶。同教授は「2010年7月の改正臓器移植法により、わが国の劇症肝炎のほとんどが脳死肝移植でまかなえるまでになってきた」と、法改正により移植は劇的に改善したことを説明。
引き続き、肝臓に関する講義が四つのテーマで行われ、中でも聴講者の興味を惹いたのが「健康食品が肝臓にどう影響するのか」を取り上げたもの。巷に溢れるサプリメントなどの健康食品が肝臓にどの様な悪影響を与えるかを、宜保医師が詳しく説明を行った。
宜保医師は「健康食品の飲用による死亡例が増加している。健康食品の副作用がでるのは、摂取量の過多によるものや、偏った成分の過剰摂取も起因している」と、健康食品が著しく人体に影響を与える事を前置きし「原材料を加工する段階で“不純物”が含まれてしまい、毒性が出てしまう」と述べ、健康食品は病気を治すものではなく、それでも健康食品を飲むときは“必ず掛かり付けの医師に相談”してほしいと締めくくった。
宣保医師は“怪しい健康食品”を飲用することに警鐘を鳴らす!
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市田教授は肝臓を守るために健康食品について次のように答える。
「薬物は投与されるとその多くは肝臓を介し、体内で代謝されます。大なり小なり、肝臓に影響が出ることに間違いはありません。以前、原因不明の肝機能異常の女性が私の所に診察に来ました。その方は、お酒は飲まないし肝炎ウィルスは陰性。さらに、脂肪肝の疑いも超音波診断で否定されました。一体、何が原因なのか考え込んでいたら、その女性は『薬は飲んでいませんが、健康食品を飲んでいます』とのこと」。
「聞けば、5種類ほどの健康食品を常用していることがわかったんです。ここまで来るともう、信仰の世界。すべての健康食品の飲用を止めてほしかったんですが、『○×という成分が入っている健康食品だけは飲んでいたい』と懇願するので、仕方なく、止められるものだけを止めていただきました。二ヶ月後に肝機能の検査値は正常化しました。実際、どの成分が肝機能障害を引き起こしたのかは追求できませんでしたが、まずは一安心しました。“健康食品と言うが実は不健康食品”で、ある種の薬はリスクを伴うのです」と健康食品は、肝臓にダメージを与え、病気を悪化させる成分が含まれている場合もあるという。
健康食品の“リスク”を訴える市田教授
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私は「ネットの削除請求仮処分申立 元ブンヤ VS ヤメ検」の取材を通じ、宣伝講習販売の「パル・ウィズ」が“癌に効く”という触れ込みで、健康食品を販売していた事実を掴んでいる。高齢者が“怪しい健康食品”を長期、短期問わず常用した場合「未知なる副作用があること」を、ただの守銭奴と化した販売者が熟知していたとは到底思えない――。
引き続き私は“怪しい健康食品”に潜むワナを、追求していきたい。
鉄ちゃん(元全国紙記者)
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