●更新日 11/19●


武道必修化モデル事業は予算の無駄遣い?文科省に取材


中学校で、2012年度から武道とダンスが必修になる。そのモデル事業の推進に関して、予算の無駄遣いだという批判が続出している。

モデル事業では、指導者への謝礼金や諸経費を、実践校に対して文部科学省が負担する。応募が低調なため、「予算は約1億9000万円残っており、文科省はホームページでPRし、予算消化を目指す」(2009年11月16日の毎日新聞)。この表現が、「応募が低調なら、事業そのものの見直しを考えるべきだ」、「実態を伴わないのに予算の消化を目指すのは筋違いだ」といった批判を招いた。





本件について、文科省のスポーツ・青少年局企画・体育課に話を聞いた。最初に電話に出た男性職員によると、上記の批判は把握しているという。だが、見直しについては「それはもう不可能ですね、学習指導要領の改訂をそれでしていますので、必修化をやめるというのは、もう無理かと思うんですが」という。しかし、全てが既定路線ということも含めて批判が出ている。

予算の問題を尋ねると、その件に対応している学校体育振興係の男性職員が電話に出た。同氏曰く、PR不足だったのは事実で、自治体の準備が未だ整っていないという実態もあるとのこと。今年の状況を見て、モデル事業の内容を検討することも必要だという。つまり、武道の必修化が既定であるとはいえ、モデル事業の見直しの余地はあるようだ。






ちなみに、「我々は毎日さんに、予算消化のためにやっているとは言ってないですよ」という。毎日新聞の記事では、先に引用した文章に、次の一文が続く。「各教委の関心が高まらない中、来年度予算の概算要求にも今年度と同額が盛り込まれているが、行政刷新会議の事業仕分けの対象にはなっていない」。モデル事業は予算の無駄遣いであるという前提で、記者はこの記事を書いたのだろうか。

いらない所に無理に予算を使用するつもりなどは全くないと、職員は言う。来年度については、別の内容を追加して自治体が対応しやすくすること、応募の増加が見込まれることを挙げた。来年度の予算は増額することなく、今年度と同額で要求するそうだ。

武道の必修化の理由は、様々な運動を経験することで「食わず嫌い」をなくし、生涯楽しめるスポーツを一人一人が発見することにあるという。この目的が必修化の合理的な理由となるか、そしてモデル事業の実施の正当性をも保証するのか。そのことが、今後の争点となるだろう。



探偵T



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