※注・この報告書は、実際に依頼者(某大学病院)が存在し、守秘義務が発生するために
事件の具体的な日時、場所の記述は控えさせていただきます。
平成五年十月某日。都内にある大学病院の事務局のS課長から、私宛に電話があった。
彼とは昨春、裏口入学の裏取り調査のときに知り合い、顔見知りになっていた。
彼は何度も口外は無用と念を押し、重大な事件の解決を依頼してきた。
なんと、霊安室の死体が何者かによって持ち去られたというのだ。警察にも被害届けを
出したが、怒った遺族を納得させるために、探偵にも捜索に加わってほしいという。
大学側としては、あらゆる手を尽くしているという態度を、遺族に示したいのだろう。
その日の夕方、彼に会い、資料や着手金を受け取った。そこで彼は、病院内は警察に
まかせるから、外部の人間のみをターゲットに絞って調査してほしいという条件を出し、
1枚の写真を取り出した。
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