斎藤さんの報告書に添付された写真には、たしかに霊らしい男の顔が写っていた。
 場所は、問題のバス停の近くの、電話ボックスが二台並んだところ。
男の顔は、手前の電話ボックスと、後ろの電話ボックスのあいだにはさまれている。
 まるで、撮られるのを嫌がり、隠れたような感じ。人間の顔なら、こんな狭いところには入らないし、第一、胴体が写っていない。
 一見、電話ボックスにマネキンの頭を張りつけたようにも思えるが、奥行きをよく見てほしい。
何の細工もないことがわかる。
 さらに観察すると、顔は青色で、目や口のくぼみがあるだけ。人間そのものの顔ではない。
体から抜け出た霊魂そのものといった印象を受ける。
 この霊が、調査報告書にあった走るサラリーマンかどうかは別として・・・。