去る
 私はこの写真を、世田谷区の(ぜったいマスコミには出ない)霊能力者、Yさん(四十四歳)に見せた。
一目で「霊魂です」と言った彼女は、「たぶん、自分が死んだことに気づいていない霊でしょう」と続けた。
 そして私は、最も信頼できる霊能力者、Aさんにもそれと同じものを見せた。
場所やいきさつをふせていたにも関わらず、
彼女は「交通事故で死んだ人の霊です」と答えた。電話ボックスのようなわかりやすいところに出る霊は、自分の存在を誰かに知らせようとしているらしい。
 しかも、あっという間に死んでしまったので、自分が死んだことに気づいていない。
霊魂だという自覚がないと言うのだ。
「君は死んでいる」とわからせる方法はないのだろうか。
 肉親にたびたび死亡現場に来てもらい、「死」を伝え、悟らせることしか手はないらしい。

私は、この調査を終えて、霊が出現する背景には、さまざまな理由があることを知った。
 フィルムという科学のフィルターを通して、目に見えないものが写ってしまうという非科学的な現実。
心霊写真の中には、口の中や目尻のシワまではっきり写っているものもある。

それが、肉眼で見えても不思議ではないだろう。
 しかし、妄想や錯覚によって作り出される霊現象や心霊写真が多いことも事実だ。
「私が持っているのは、心霊写真ではないのか?」と不安に思う人は、私のところに送ってほしい。
写した場所さえわかれば、すぐにでも調査に入るつもりだ。