ガードが近づいてきたとき、Aさんの長女は首をひっこめたが、友達二人は周囲を見るのに夢中になっていて気づくのに遅れたらしい。
Aさんは、三人がサンルーフを開けて首を出していたことに気づいていなかった。
二人はガード入口の鉄枠に激突したあと、シートに折り重なるように崩れ落ちたようだ。顔や頭を強く打って即死だった。
しかしAさんは、そのまま四百メートル車を走らせている。
「ドーンという音で事故に気づいた。でも、血だらけの車内の惨状を見て気が動転した」と、のちの事情聴取で答えている。
高さがたったニ・0七メートルのガード。
ワゴン車は一・九九メートルで、ぎりぎり抜けられる高さだ。その差、わずか八センチほど。
事故を目撃した人の話によると、当時の現場は、道路も、ガードも、天井も、べっとりと赤黒く濡れていた。黄色と黒色のガードの鉄枠は大きくゆがみ、ここにも血。たまらない光景だったという。

死んだ子どもたちは、翌日から夏休みだった。きっと、楽しみにしていただろうに・・・・・・。