雨の日の放課後、一人で美術室にいると、いつのまにか入り口に女の子が立っていた。「どうしたの?」と声をかけると、その子は蚊の鳴くような声で「セッケン貸して・・・・・・」と言ったそうだ。

そのときはじめて、行方不明になったT子さんだと気づき、驚いて近寄ろうとした。すると彼女は、入り口をスッと抜けて逃げてしまった。

あとを追い、廊下に飛び出したが、すでに彼女の姿はどこにもなかった・・・・・・。

私はDさんに協力してもらって、当時の生徒たちから聞き込みをしてみたが、有力な情報は得られなかった。