多摩湖の血まみれ女

……あなたはこんな噂を信じられますか？

「彼氏のバイクの後ろに乗っていた女の子が、カーブで振り落とされて死んでしまった。ずっとその道を避けていた彼氏だが、ある日誤って通過してしまう。すると背後の暗闇から、血だらけの女の子が四つん這いで追いかけてきた」

それ以来バイクが通りがかると、かわいい女の子が声をかけてくるようになったという。

「お願い、東村山まで乗せてって！」




噂の発生源は東京都東大和市にある村山貯水池、いわゆる多摩湖です。
その南側を、東西に走る道路が今回の現場となります。


私、新人記者の大浦は、真夜中の青梅街道を原付で２時間近く走り続けました。
都心を離れるごとに気温が下がっていきます。

ようやく現場付近。町の様子を撮ろうとしたんですが、
シャッターが切れません！
故障？？

もう憑いちゃったのかなぁ…

（以後は自前カメラで撮影）

この幸先の悪さを挽回しようと神社にお参りしてみましたが……
真夜中にライトアップされた社が不気味です。呪われそう。


先行き不安のまま、怪奇道路の入り口にたどり着いてしまいました。

あれ？
バイクは走っちゃいけないの？　何故この道だけ？



霊が原因かはさておいて、何かトラブルがあったのは間違いないようです。
仕方なく別口の脇道から、この怪奇道路に合流しました。

蛇のようにくねくねと左右のワインディングが続く暗い道。女性が落ちてしまうのもうなずけます。
左手は多摩湖のはず。勢いが付き過ぎれば湖中に投げ出される可能性もあるのでは……。





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しかしここでは私の身に何も起きなかったのです。


一安心、でもちょっと残念に思いながら現地を後にしました。
帰社後カメラをいじると、「ガリッ」という音とともに突然シャッターボタンが直りました。
あの場所には、写真を撮られたくない誰かがいたのでしょうか？

ただ私は数日後にバイク走行中、タクシーのドアが急に開いて体に刺さり、救急車で運ばれました。

それ以外は何事もなく穏やかです。
……今日の時点では、ですが。