●更新日 12/01●
朝比奈峠の怪
朝比奈峠……横浜市と鎌倉市をつなぐ、鎌倉霊園の側を通る峠道。
その付近に住んでいる人物が、こんな話を聞かせてくれた。
何人かで友達の家に泊まりに行っていた時のこと。
携帯を家に置き忘れたことに気づいて、車で取りに帰ることにしたんだ。
だけどその時はもう0時を過ぎていたし、雨も降っていた。
危ないし一人じゃ寂しいだろうからって、女の子が一人付いてきてくれることになった。
彼女はよくしゃべる明るい子で、つかの間のドライブはとても楽しかった。
でも峠に差し掛かると、彼女が黙ってしまったんだ。
家に着いた時、彼女が言った。
さっきね、白い服を着た女の人がいたの
え? どこに?
朝比奈峠。
え? そんな人いなかったと思うけど……
彼女は納得がいかない顔をしていたけど、こんな夜中に、しかも雨の中、女の人がいるわけもない。
気にせず友達の家に戻ることにした。
そして再び、朝比奈峠にさしかかった時、
やだ……。またここ通るの?
うん。近道だから
違う道で行って!お願いだから、すぐ引き返して!
彼女が青白い顔で叫んだ。
でもそこはもう、Uターンできない場所。
彼女の声を無視して、そのまま走りつづけた。
そして鎌倉霊園の入り口に差し掛かったとき、電話ボックスの陰から何か白いものが飛び出してきた。
俺はあわてて急ブレーキをかけた。
車はスピンして、ガードレールぎりぎりのところで止まったんだ。
車の中で、彼女は窓の外を見つめながらガタガタと震えていた。
そうしてなんとか友達の家に着いた時、顔面蒼白な彼女が口を開いた。
行くときに、カーブを曲がると白い服着た女が立ってたの。
その人、どのカーブにもいたのよ?
帰り道もやっぱり立ってたの。
それであの電話ボックスの所で飛び出してきて、窓から私のことをじっと見てたの !!!
この話を信じるも信じないも、あなたの自由です。
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