●更新日 12/18●

夜泣き石


昔から旧東海道に鎮座していた、不思議な丸い石。
現在は静岡県掛川市、国道一号線の脇に数奇な運命を得て安置してある。







昔、小夜の中山に住むお石という身重の女性が、山頂にある久延寺に安産祈願の為赴いた帰り、
丸石の傍で休憩を取っていると、山賊に会い斬り殺されてしまった。
斬られた時に、刀が丸石に当たり、お腹の子は無事だったが、このままでは死んでしまうと、
お石はその丸石に乗り移り助けを求め泣いたという。


久延寺


泣き声に気付いた久延寺の和尚が山を下りていくとお石と赤子に気付く、
その時赤子はとても泣ける状態ではなかったので、
泣いていたのはこの石に違いないと思い、この石は夜泣き石と言われるようになった。




助けられた赤子は母乳の代わりに水飴を与えられて育ち、音八と名付けられた。

音八に与えられたとされる水飴

音八は十五の時、夢で観音様に会い、刀の研ぎ師になるように言われ、西の方に旅立ち研ぎ師となった。
一人前になった音八の前に侍が刀を研いでくれと訪れた。
刀先には丸く欠けている部分があり、何故欠けているのか尋ねると、

十数年前、小夜の中山の丸石の傍らで、妊婦を斬り捨てた時に石に当たったのだ。

侍が母の仇と分かると、音八は名乗りを上げ、仇を取ったと言う。
その話を聞いた弘法大師が、石に仏号を刻んだとの事。




夜泣き石はその後、明治天皇の東幸の際、通行の邪魔だと、道脇に寄せられ、久延寺が買い取り安置される。
しかし、銀座松坂屋の博覧会に出展された帰り道、運送料が足らず焼津の港に捨てられる。
それを見かねた地主が自費で自分の裏山に移送、その際、久延寺が所有権を巡って裁判を起こす。
(久延寺が敗訴しレプリカが置かれている。)

久延寺のレプリカ

そして今、現在の場所に落ち着いている。




様々な伝説を残した夜泣き石、今は心霊スポットとして噂されている。

夜泣き石はそんな世をはかなんで、まだ泣いているかも知れない。


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