●更新日 07/26●
釣り人の怨念
ここは某海岸。
黒鯛やスズキ等の魚がよく釣れる事で、地元の釣り人達の間では知られていた。
ところが、4年前の夏、ある事件をきっかけに釣り人の姿が見られる事はなくなってしまった。
ある事件とは何か・・・
深夜、事件の目撃者であるという釣り人A氏と海岸で待ち合わせた。
現場近くにA氏が到着。すると、車の中から突然A氏が
「あ・・・あの木の下で男の人が首を吊っていた・・・」
声を震わせながら叫んだ。
A氏によると、
いつものように夜釣を楽しんでいた夏のある日、時間は深夜の3時頃だった。
遠くの方から視線のようなものを感じ、ふと振り返ると、
30代ぐらいの男性が首吊り自殺をしていた・・・
しばらくの間A氏はその場で茫然としてしまったと言う。
その日を境に、そこで夜釣をすると、男性の霊が漂ってくるようになってしまった。
その木の下まで行こうとA氏を誘うが、事件の事を思い出してしまったのか、
A氏は震えだし、車から出られなくなってしまった。
恐怖に脅えるA氏に、くわしい木の位置を確認し、一人で向う。
事件以来ほったらかしにされているらしく、草木は伸び放題。
暗闇の中を5分程歩き、その木にたどり着いた。
この木で男性が首を吊ったのである・・・
木の根元辺りをうろうろしていると、A氏からの電話。
「気分が悪くなってきて、吐きそう・・・」
まさか、男性の霊がA氏に・・・
慌てて車に戻り、現場から離れる。
すると、徐々にだが、A氏も無事回復してきたようだ。
『やはり霊の仕業だったのだろうか・・・』
自殺現場を目撃してしまったことが、相当なトラウマになってしまっているA氏に深いことを聞くことはさすがに出来なかったが、そう思えてしまう。
釣りスポットで自殺し、釣り人の前に現れる男性の霊。
人生最後の場所に、ここを選んだ男性もまた釣り人だったのだろうか。
現在この場所は、隠れた釣りスポットから、恐怖の心霊スポットに変わった・・・。
島 雷鹿
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