●更新日 11/27●

彼女の奇妙な行動(百物語)


僕は霊感がある方です。幽霊を見たり、何かに取り憑かれている人間に近付くと身震いするといった感じです。
大学二年の秋、授業を受けているといつもの身震いを感じ、振り返ると一人の女の子がいました。
最初の印象としては「可愛いな…」くらいでしたが、その後授業で彼女を見かけてもいつも一人。とても一人でいるような雰囲気の子ではないのに。

写真

だんだん女性として惹かれた僕は冬休みに入る前の最終授業で思いきって声をかけると、向こうも気になっていたらしく、アドレス交換をしました。
年内に遊びに行く機会もでき、ある夜、遅いので家まで送ることになったのですが、一軒家で23時にも関わらず家からは人の気配がない。
僕が不審に思っている事を察したのか、彼女は「両親が一年前に亡くなった」という事実を告げてきました。

彼女の力になりたい一心で告白をし、OKをもらい、終電を逃した僕を家に上げてくれるという最高のシチュエーションにまでこぎつけたのですが、何故か逃げ出したいくらい動悸が激しくなりました。
その後彼女と共に眠りについたのですが、しばらくすると彼女は、歯ぎしりをしながら喉を何度も掻きむしるという奇妙な行動をし始めました。
揺すって起こそうとしても目覚めず、血を流す彼女の両手を必死に押さえると、彼女の口からは「デテイケ」と一言。

写真


怖さよりも、この状態の彼女を置いておけないため、仕方なく朝までそのままの状態に。
翌日彼女にこの事を話しましたが、何も覚えていないようでした。

後日、彼女の1年の時の友人に話を聞き、両親が彼女をすごく大切に育てていた事、葬式の時に彼女がお棺にすがりついて「ずっと私の中で生きて」と泣き叫んでいた事を知りました。
想像ですが、霊感のある僕に、ご両親は娘との絆が切り裂かれると思ったのかもしれません。

一年たった今も変わりなく交際を続けていますが、未だにこの現象が直ることはありません…



hknraafi



選考:百物語制作委員長  渡邉文男 (賞金50万円 詳しい応募方法はコチラ


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事