●更新日 12/13●

繋がらない110番


これは私の元に寄せられた、深夜でアルバイトをするコンビニ店員(Aさん21歳)からの投稿です。


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俺のバイトしているコンビニは働いてから気付いたが、実に暇だ。
まず絶対的に客が少ない。これは立地的に本当すぐ隣に酒もタバコも扱っているコンビニがあるから仕方ないことだとは思う。
そのせいか、いつもガランガランで平日なんて朝までお客が10人前後の時だってある。
深夜のコンビニの仕事なんて搬入が殆どだから、直ぐにやることがなくなってしまうわけで。
暇を持て余してしまうわけなんだけど・・・これは、そんな暇な誰もいない時に起きた奇妙な話だ。

9月のある夜のこと、いきなり店に頭や腕から血を流しているオジサンが入ってきた。



写真


「助けてくれ!そこで不良に襲われた!!」


オヤジ狩りか・・・。
このコンビニ付近はガラが悪い連中がたむろすることは日常茶飯事で、暴走族もたまに来たりする。

「110番しますから、その血を拭いていてください」

レジに在ったタオルを渡して、店の電話で110番通報をすると・・・・出ない。
何が出ないって、110番が。3回、7回・・ずっとコールしたままなのである。


「何してんだよ、早く助けを呼んでくれよ!」


俺は焦ってきた。目の前に流血している男がいてこちらに喚いて来ているというだけでも非現実的なのに、110番が出ない。
何でだ。何でだ。



「これで死んだら、お前のせいだ!」



そんな馬鹿な。オジサンに怪我させたのは俺じゃなくて、どこぞの悪ガキだろう。
しかし怪我してる相手を助けられないのなら、俺がやったも同然なのだろうか。


そんなわけはないのだとは思うが、この時の俺は混乱していた。

もう1分近くコールしている。しかし、相変わらず警察は出ない。
ここで俺は重大なことに気付いた。

「怪我しているなら、119番が先ですよ!そっちにかけます」

そう言いつつ後ろを向いたら、オジサンはいなかった。

「あれ・・・」

確かにいない。何故?? 帰って自分から病院を探しに行ったのだろうか。
キツネに摘まれた感じがするが、いないということはそうなのだろう。
そう自分を納得させて、仕事に戻り、そして朝。

交代のおばさんが店に入ってきて、俺に話しかけてきた。

「Aくん、昨日大丈夫だった? 店の近くで人が死んだんですって!」

死んだ? 誰が・・・まさか?

「なんか、サラリーマンらしき中年の人がオヤジ狩りっていうの?不良に襲われたみたいで、打ち所が悪かったみたいで発見された時には・・」

まさか、まさか!
慌ててビデオ録画していた防犯ビデオを再生してみると、その流血した男が入ってきた時間には何も映っておらず、俺がただ一人電話をしているだけだった。


霊・・・?


まさかとは思う。だけど、それ以外に説明が・・・



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よく、人は危なくなると霊魂だけの存在になって人に助けを求めるという話があります。
今回の話、もしかしたらAさんは110番通報じゃなくて最初から119番通報していたら別の結果が在ったかもしれません。
または、いないと解った時に探しに出ていれば?
これもまた、違う話になったかもしれませんね。結果はそれこそ、そのオジサンから霊魂しか解りませんが、、、



西垣 葵 写真


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