●更新日 12/18●

死者が住む部屋


私の友達でサーフィンをやっている賢二(仮名・24歳)が実際に体験した話です。
実際にサーフィンをやったことある人は知っていると思いますが、海の中でやるスポーツだけあって、終わると物凄い疲れます。
朝からでも昼からでも東京から神奈川や千葉の海辺まで行くと、帰りは平日でも休日でも物凄い渋滞。
疲れている時に渋滞なんかすると眠くなって危ない。

だから、仲間がいるならお金を出し合って海の近くにある安アパートを借りるということをしている人がいます。
毎日住むわけじゃないんだから安ければ安いほど良いわけで、知り合いの不動産屋に聞いた所、以前に女性が殺された事故物件を教えてもらったそうです。

誰も知っているから借り手などおらず、平均相場の半額に近い値段だったとか。
賢二もサーフィン仲間も霊を信じてないし、そこに住むわけじゃないから近隣との仲も気にする必要はないということで借りたそうです。

ある夜のこと。

その日、その部屋を使うのは賢二だけだったようで、海から帰ってきてシャワーを浴びていました。
浴室から出て部屋に座っていると、ドアノブが 

カタカタ

揺れたそうです。
少ない揺れだったから風かなと思っていたら、今度は少し強めにまた揺れた。

そんな風強いのか?と思って窓を開けてみたら、風なんて吹いていない。


カタカタ


カタカタ


ドアノブはだんだんとゆっくりですが強く揺れ始めました。


カタカタ


ガチャガチャ


ガチャガチャ!!


完全に人がノブを回しているような感じだったそうです。
恐怖のあまり、凍り付いていると


ドスン!


「ひぃっぃい!!」


冷蔵庫の上に置いてあったワインの瓶が地震もないのに落ちました。

割れた赤ワインはまるで血のよう。
そういえば、ここの前の住人は、この部屋で殺された・・・と思い出すやいなや賢二は恐怖に耐え切れなくなり、車の鍵を持って窓から飛び降りたそうです。
よくも2階から飛ぶ気になると思いますが、どうしても玄関からは出る気にならなかったらしい。


この話を帰ってから他の仲間に言うと、誰も信じてくれないどころか小馬鹿にされたそうです。
そして、使わないなら別にいいけど割ったワインを掃除してこいということでまた行くことに。
非常に嫌だったそうですが、昼間の時間に中に入ろうとすると


「おかえりなさい」


確かに女性の声だったそうです。
素っ頓狂な悲鳴を上げながら賢二は車まで一直線。
仲間に「金払うから!俺はも絶対にあの部屋は行かない!頼む!」と告げたそうです。

仲間の一人が呆れながら今週末に俺が使うから掃除もしとくということで話は纏まりました。
土曜に泊まって、日曜に帰ってくるらしい。

そして

その日曜が終わり仲間が東京に戻ってきた時、一緒に食事をしたそうなのですが


「何もなかったぞ。怖がり過ぎなんだよ」


このように言う仲間に対して、賢二が見たものは


「お前、ここ来る前に彼女と一緒だった?」

「いや、ずっと一人だけど」


「じゃぁ、肩に掛かってる長い毛は誰の?」


仲間の右肩には明らかに長い髪の毛がくっ付いて…


誰もが固まったそうです。 その後、そのアパートは大家に3倍の家賃を払うからということで大家に後処理を願ったとか。



西垣 葵


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