●更新日 01/11●

繰り返す呪縛


よく、自殺した人は成仏出来ずに、その死に様を永遠に繰り返す・・・なんて話を聞いたことある人もいると思います。

クスリで死んだ人はどのように繰り返すのかな?という疑問もあるのですが、飛び降りや飛び込みなどを繰り返すのだとしたら、それはそれは苦しいことでしょう。

結果、地縛霊となり、同じ苦しみを味わう人間を引き込むものとなる――というのが通説のようですが、これからするのは陰陽師の先生から聞いた悲しい恋の話。


ある女性がいて、その女性には恋人がいたそうです。
一緒に住んでおり仲睦まじく、誰もがお似合いのカップルだと認めていて、結婚も間近だったとか。



そんな中、彼女は急に命を断ちました。



何で死んだのか解らない。彼は理由なんて見当たらない。

悲しい。何故、理由があるならその悩みを打ち明けてくれなかったのか?

いや、理由は自分に有ったのか??

そんな罪の意識や、後悔、疑念・・・色々な念が彼を責め立てます。
彼女の思い出が詰まった家に住み続けるのは彼も限界があったのでしょう。引越しをしてしまい、その行方は解りません。

他の土地でいつか忘れ行く彼女の気持ちに区切りが付いたら、新たな恋をするのだとは思います。それ自体は悪いことではないし、生きている人間が死んだ人間に縛られることは良くないこと。



しかし、彼女は死ぬつもりなどなかったとしたら?

窓際で洗濯をしていた時、彼から貰った指輪が外れてしまい、その指輪を手に取ろうとしてそのまま窓から落ちてしまったのだとしたら??

死んだことに気付いてないのかもしれない。

いや、気付いていて地縛霊に?人の噂は言霊となり、更に彼女をその場所に縛り続ける。



何度も何度も、あの日を繰り返しながらいつかは来る成仏を待っているのでしょうか?

たまたまその話を人づてで聞いた先生が件の土地に赴いた時、何でそこにいるかも解っていない彼女の姿を感じたとか――



西垣 葵 写真


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