●更新日 02/05●

ある廃病院の怪


※今回の場所は、諸事情により伏せさせて頂きます


K県。あるインターを降り、国道を車で走ること10分。
病院へ続く細い獣道に入ると、そこからは徒歩でしか行けない。

この病院が閉鎖された時期は定かではありませんが、関係者の自殺や老人患者の孤独死が多発したために閉鎖になったと言われています。閉鎖後、お決まりのように起きる怪現象。「院内で白衣姿の看護婦が目撃される」などといったのが多く、院内に何かを忘れたり、院内の物を何か持ち帰えったりすると「忘れ物取りに来てよ・・・」「返してよ・・・」といった電話がかかって来るとか。

写真

病院の敷地内に入った途端、突然私の真上をカラスの大群がけたたましい鳴き声と共に通過して行った。正直、気持ち悪い。

院内は、こういう場所だから仕方ないのでしょう。壁一面に広がったスプレーによる落書き。これは廃屋に共通する、暴走族による悪戯だから。院内は薄暗く非常に寒い。歩く度に響く「ミシッ」という音がなんとも不気味です。

地下には霊安室があるとの話でしたが、地下に繋がる階段などは見当たらず、エレベーターのボタンも1階までしかありません。
1階の一番右奥の部屋の扉が頑丈な鉄で出来ており、「関係者以外出入り禁止」と書かれていました。扉を開けると真っ暗で窓さえない事から、この部屋が霊安室ではと思います。

階段で2階へ上がります。窓から日光が差し込んでおり、1階に比べるとかなり明るい。畳張りの部屋が幾つかあるのは、やはり老人病院であるからでしょうか。

そして、ある部屋に入った時!!

窓から急にカラスが飛び込んできました!


「!?」


カラスはけたたましく鳴きながら、通路に出て行き見えなくなってしまいましたが、心臓が止まりそうになった瞬間です。

恐る恐る窓の方を見てみると、その一瞬。


写真

もしかしたら身間違えかもしれませんが、お爺さんが恨めしそうな顔して立っていて、直ぐに消えて行ったのです。

「寝てる所に入ってくるな」とまるで言いたげな顔。


線香をあげ、病院から出て行きましたが・・・帰りの車までの道のり、ずっとカラスの視線が私に張り付いているようで気が気じゃありませんでした―――



西垣 葵 写真


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