●更新日 02/08●

悪魔と赤いドレス


70年前のテキサス州でのゴーストストーリー。

その日は高校のダンスパーティー(※)で、ジルは朝からワクワクしていた。普段は目立たない、というより誰も気が付かないような地味な女の子。でもダンスパーティーの今夜、お気に入りの赤いドレスを着ていつもとは違う自分になろうと決心。

ドレスを着た自分はまるでシンデレラ。軽い足取りで母親の部屋へ行くと、信仰心の強い母親が赤いドレスの娘を見て激怒。

「赤いドレスは誘惑の色。悪魔が最も好む色。今すぐ脱ぎ捨てて懺悔に行きなさい!」

狂ったように怒る母親に驚いたジルはダンスには行かないと告げ、自分の部屋に戻った。
でも鏡に映るいつもと違う自分を見ているうちに、どうしてもドレスを脱ぎたくなくて、家を抜け出しダンスパーティーへと走った。

MAYU


パーティー会場に入ると、そこにいた全ての男子はジルに注目。誰もが彼女と踊ろうと必死にアピール。
ほとんど男子と話した事もないジル。でも赤いドレスを着た今夜は違う。男子の注目を集めているのを十分感じながら、踊り続けていた。ふと目に留まった、黒髪の背の高い男子。ジルは吸い込まれるような感覚で彼の傍に行った。「私と踊ってくれますか?」と彼はジルの手を取り会場の中央まで連れて行き踊り始めた。

彼はジルをスピンし始めた。最初は楽しんでいたジル、でもだんだんと目が回り、息苦しくなってきた。
スピンを止めようとしてもスピードは増していくばかり。ジルはまるで足元が溶けていくかのような感覚に襲われた。彼らの周りに誇りが渦巻き、周りにいた生徒達も気付いた。何が起こっているのかと生徒達が中央に集まってくると、埃の渦は一瞬天井まで届いたかと思うと床に崩れ落ちた。

踊っていたはずのジルと黒髪の男子生徒は埃と共に消えたようにいなくなっていた。


赤いドレスは悪魔の好む色。
ジルのドレスに誘われて、悪魔が彼女を連れて行ってしまったのか?



MAYU

※:アメリカの高校では学校主催のダンスパーティーが年に何回か開かれます。


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