●更新日 11/23●
昭和の異常犯罪
〔15歳ニートが投げヤリ殺人〕
昭和34年(1959)6月5日、 東京都世田谷区の路上で無職の少年(15)が自転車に乗った小学1年生の胸を手製の投げヤリで刺して殺害、29日にに逮捕されるという事件が起きた。
少年は裕福な会社社長の1人息子で、教育熱心な両親から勉強部屋を与えられ、家庭教師をつけられて猛勉強をさせられていた。
しかし都立高校入試に落ち、入学した私立高校もすぐに退学してぶらぶらしていた。
これまでも子供を木に縛りつけてナイフで脅したり、竹で目を突いてケガを負わせたりという事件を起こしていた。
友人がおらず家に引き籠もりがちで、普段はテレビを見たりラジオを組み立てたりしていたという。
父親は「絶対に違う」「気が弱いので、責められるままにいいかげんな話をしたのでしょう」と息子をかばっていた。
〔日本の切り裂きジャック?17歳杉並切り裂きジャックが幼児を連続傷害〕
昭和38年(1963).3月から昭和39年(1964)年にかけて、東京都杉並区を中心に小学6年生の陰部切断や、顔、腹などが切られる事件が11件続発。
犯人と思われる人物から「切り裂きジャック」を名乗り、警察や被害者宅へ傷害のさし絵や予告挑戦状などが送り続けられ、世間の親たちを不安がらせた事件があった。12月26日、落としたノートから警察は都立高校2年生(17)を容疑者として逮捕。
この少年は中流家庭で育ち成績も優良だったという。
普通の高校生に潜む異常性に慄然とさせられた事件。
〔高3がひかり号爆破未遂〕
昭和42年(1967)4月25日、熱海付近を通過中の新幹線下り「ひかり21号」の座席に、「源氏物語」の本をくり抜いてダイナマイトと雷管を仕掛けた時限爆弾があるのを車掌が発見。
箱から本を引き抜くと爆発する仕掛けだったが、たまたま上下を逆にして抜いたため接触不良で爆発はしなかった。
翌年2月19日、窃盗容疑で留置中の18歳の無職少年が犯行を自供した。
「火薬とSFを研究した成果を見るため」「高速で走る新幹線で爆発が起これば大勢の人が死ぬだろうと思った」という理由によるものだった。
少年は福島県の裕福な農家の末っ子として育ち、成績も良かったがSFと爆弾の研究に熱中し始め、工事現場からダイナマイト百数十本と雷管などを盗んだ。
当時相次いでいた爆弾事件に刺激され、親にアパートを借りてもらい、本型の時限爆弾を自作、山中で何度も爆破実験をしていた。
高校3年生の時の修学旅行で東京駅に来たときに、新幹線に手製の爆弾を仕掛けていた。
研究資金を得るため盗みをはじめ、1月には学校も退学、自動車を盗んで逮捕されたが、指紋が一致したため追及され自白したもの。
部屋の中からは国会議事堂や警視庁に丸爆印の付けられた地図も発見された。
いつの世もどの世代でも異常犯罪と呼ばれる事件は起こっているのである。
山口敏太郎の著書「帝都伝説ー街すべてが恐怖ー」(リイド社)
山口敏太郎
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