●更新日 01/15●


女が這ってくる


筆者は毎年のように、東京都青梅市の昭和レトロ商品博物館のイベントとして妖怪・怪談ライブを行っている。毎回、奇妙な現象があるのだが、2005年のイベント開催時に不思議なことがあった。

その年の怪談ライブの会場は、青梅駅前に鎮座する住吉神社階段下であり、まさに怪談イベントにはもってこいの場所であった。怪談イベントが始まり、怪談師たちが話すのを、筆者は舞台のそでで見ていたのだが、何故か客席から舞台に向かって右側の蝋燭が消えてしまう。何度も付け直しても消えてしまうのだ。

「おかしいね、なんでかな」

他のスタッフと筆者が話していると、出演者の一人であった。鳴釜のんさんが舞台のそでに来て妙なことを言う。
「山口さん、なんか、女性の声が聞こえるんですよね」
「ええ!!舞台の周辺に女性はいないよ」
「確かに、舞台上でぼそぼそと、ささやくんです」
「そんな馬鹿な、確認してくる」

不審に思った私が客席に下りて確認した。だが、女性の声など聞こえない。
(うむっ、やはり、気のせいか)

再び舞台の袖に行くと、語り終えたファンキー中村さんも奇妙な話をしだした。
「なんか女の気配が舞台でするんだよね」
「ええ!?中村さんも…」

のんさんも、中村さんも口裏を合わせているわけではない。二人とも、確実に何かを聞いているのだ。

後日、霊感の強い友人が奇妙な話をした。
「山口さん、俺さぁ、青梅の怪談ライブで、妙なもんみちゃったよ」
「どっ、どういうモノですか?」

友人は嫌な表情を浮かべながらこう言った。
「妙な女がさぁ、神社の階段の上から這いながら降りてきて、舞台の右側のろうそくをブツブツ言いながら、ふっと息で消したんだよな」




山口敏太郎



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