僕は今回の霊調査で、盛り場の幽霊をキャッチするぞ、と意気込んでいたが、
月日が経つにつれて大きな見当違いに気づいた。
 幽霊を見た、という情報を頼りにその場所へ行っても、どこもにぎやかで
派手派手しく、幽霊が出るロケーションはどこにもない。話そのものも、
飲み屋のねーちゃんを怖がらせようとするのが見え見えで、やれ、タクシー
が血だらけの男を乗せたら途中で消えただの、事故があったディスコ跡地で
幽霊が出るだの、調べたくても調べようがないネタばかり。
 それならばとホテトルやキャバクラ、ソープのハシゴをして女の子に直接聞
いて回ったが、これといって大きな魚は釣れずじまいだった。
おかげで代表に三十万円強の請求書を回してしまった。スミマセン。
 ところが、種をまいたソープ嬢の友だち(やはりソープ嬢)から、教えてお
いた携帯電話に連絡があった。『本当の話には賞金○万円』が効いたのか。
 さっそく本題にはいったが、とたんに冒頭と同じ、赤子を抱いた女の霊の話
になる。ガックリ。
「そんな幽霊がさまよっていたら、目立ってしょうがないんじゃないの?」
とすこし意地悪な質問をすると、彼女は、本当に見たと言い張り、賞金なん
かいらない、場所を教えるから見に行け、と叫んでガチャン。
メモした場所は都電荒川線が横断する巣鴨の○○周辺というから、二丁目、
三丁目あたりか・・・・。
 しかし、水商売の女の子は二人に一人が自称「幽霊を見たことがある」で、
まるで血液型の話題のように信憑性がゼロ。彼女も自分に霊能力がある、な
んて言ってたが、どんなものだろうか。