半信半疑の僕は、ある仕事の帰りに、彼女の示した場所に行ってみた。

 なるほど、都会の喧騒からすこしはずれた陰湿な感じの一角だ。近くに神社もあり、
墓地はうっそうとした草木に囲まれてひんやりしている。
 とりあえず、周辺の住人に「赤子を抱いた血まみれの幽霊を見ませんでしたか?」
と聞き込んでみると、とあるマンションの主婦(三十歳)が「見た人、いますよ」という。
それも赤子じゃなく、水子だって。「どこで見たのか知ってますか?」と聞くと、「方々です」と。
 奥さんいわく、近ごろはあまり出なくなったが、昔は梅雨明けぐらいによく出没したらしい。
 悲しそうに水子(出産まえの赤子)を両手から差し出し『この子を助けてください・・・』と言うそうである。ゾ〜ッ。