去る

 東京都豊島区の産婦人科医院で今年三月末、十六歳の少女が妊娠中絶手術の
最中に出血多量で死亡する事故があった。巣鴨署は、中絶手術に失敗したと断定。
この医師を業務上過失致死容疑で書類送検する。
 手術を受けて死亡したのは、台東区に住む女子高生A子さん(十六)。調べによると、
A子さんは今年三月、妊娠四ヶ月と診断され、同医院で中絶手術を受けたが、
手術中に出血が止まらなくなり、意識不明のまま死亡した。
 A子さんは、これより四ヶ月まえの昨年末にも、同医院で妊娠中絶をしており、
手術は二度目。A子さんの遺体や胎児の状況などについて、東大法医学教室などに、
くわしい調査を依頼。これをもとにこの医師から事情聴取を重ねた結果、手術が不完全で、
胎児が子宮内に残っていたことがわかった。
 医師はこれに気づかず、ふたたび妊娠したと診断して二度目の手術を行なったが、
この時点で胎児は七ヶ月に成長しており、中絶ができる状態ではなかった。しかし医師は、
手術が無理とわかったあとも続行。このため、器具で子宮内を傷つけ、A子さんは
出血多量で死亡した。
 診断ミスからA子さんの命を奪ってしまった医師がただの書類送検だけ・・
これは、はたして「過失」ですむことなのだろうか。

 A子さんの霊は、自分が死んでから赤ちゃんの生命が七ヶ月だったのを知り、
堕ろしたことを悔やんでいるのではないだろうか。それとも、安易に堕胎を
決意したA子さんを、鬼子母神が怒り、天界に導かないのか・・・。