「あっ!!」
 橋の向こうに白っぽい人影が見えた。小さな女の子・・・。よく見ると、四歳のときに
病気で死んだ妹だった!白い着物を着て、寂しそうな表情を浮かべ、
彼に向かって手を振っている。思わず彼は名まえを呼んだ。

「ケイちゃん・・・」
 するとその子は、後ずさりをしながら暗闇に呑み込まれ、やがて消えていった・・・。
 幻なのか、霊魂なのか・・・彼はしばし茫然と立ちつくした。