情報提供・ご意見ご感想などはこちらまで! 記事のご感想は一通一通ありがたく読ませて頂いております。

大船渡の山火事から考えるべき教訓


 大船渡の山火事はようやく収まりつつあるようです。これまでの消防隊員の皆様の奮闘には心から敬意を表したいと思いますが、報道を見たBOZZから、「消火活動に参加した消防隊員の数が2,000名というのは少ないのでは?」との問題提起がありました。

 私は災害対応のプロではないので一概には言えませんが、少なかった可能性は否定できないように思えます。

カリフォルニアの山火事の凄惨さを見ても分かるように、山火事は延焼してエリアも被害もどんどん広がる可能性があることを考えると、大量の人員を一気に投入して早期に鎮火させるべきだったのでは、と素人目には感じるからです。

日本全国の消防職員の数は16万人超もいます。そして、比較の対象として適切ではありませんが、2016年の熊本地震の際には活動ピーク時に1日で12,900名の消防隊員(うち9,200名は消防団員)が現地に投入されています。こうした数字を見ると、2,000名という数は決して多くはありません。

 ただ、今回は、消防隊員の人数の多寡以上に、日本の災害対策の仕組みの問題点が改めて明らかになったように思います。

 大船渡の山火事のような災害が発生した場合に、政府や自治体がどう対応すべきかは、災害対策基本法という法律に定められています。この法律は伊勢湾台風の大被害を受けて制定されました。

 問題は、この法律上、災害が起きた場合の防災・救助・復旧など必要な対応は、まず被災地の地元の市町村が行なうとなっていることです。ざっくり言って、市町村で対応しきれない場合は都道府県が出てきて、それでも対応できない場合は国が出てくる、という体系になっています。

 しかし、現実には市町村がまず大規模災害に対応するというのは無理です。都道府県でも厳しいはずです。人もノウハウも少なく、また地方自治体は前例主義だからです。もし消防隊員2,000名という数が少なかったとしたら、その原因は日本の災害対応体制にあるのかもしれません。

 特に最近は東日本大震災や異常気象のように自然災害の規模も大きくなっていることを考えると、昭和36年に制定された法律の体系を未だに維持し、市町村という基礎自治体が災害対応をまず行なうという仕組み自体を見直す必要があるのではないでしょうか。

 このように考えると、石破総理には、防災庁の創設よりも災害対策基本法の見直しを是非やってもらいたいと個人的には思ってしまいます。

---
BOZZです。
岸さん、私の質問への回答ありがとうございます!
私は木こりを全国から5000人集め、延焼しそうな場所の木を30mくらい切り倒し、防火シートを木の切り口に被せていったらどうかと思いました。消防よりも効果があるのでは?と。まぁ素人考えですけど(笑)


岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

 

タイトルとURLをコピーしました