高速道路のトンネル内で事故を起こし、診察のために訪れた病院で看護師に暴行を加えたとして逮捕された広末涼子。その後釈放され、双極性感情障害であったことを告白しました。事故当時、周りから見ても異様な興奮状態にあった広末さんは、今思うと、当時、躁状態にあったのかもしれません。

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勇気ある告白をした広末涼子(Wikipediaより)
エンタメビジネス界に双極性感情障害の人が多いのはアメリカ。例えば、マライア・キャリー(シンガー)、カニエ・ウェスト(シンガー)、セレーナ・ゴメス(アクター&シンガー)、ジャン=クロード・ヴァン・ダム(アクター)、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(アクター)、マイク・タイソン(元プロボクサー)など、挙げればキリのない状態です。
日本では、広末さんのように公表する人が少ないものの、タレントの遠藤なぎこさんや泰葉さんが双極性感情障害を公表しています。
芸能活動は不規則で、忙しさにも波があるはず。華やかである反面、ファンやメディアから常に注目され、評価されることに対するプレッシャーも相当のもの。私の知人である舞台女優さんは、仕事でハイテンションを保つためにどうしても感情のエンジンをふかし過ぎてしまうことが当たり前になっていて、要は「過剰適応」している状態、と語っていました。
双極性障害では、実は、異様な興奮も突発的な振る舞いも、過度なストレスに適応するための行動です。しかしながら、お金を使い過ぎてしまったり、暴言を吐いたりしてしまったり、といった行動が過度なストレスを一瞬軽減したとしても、それは新たなストレスを生み出し、そのストレスによって再び不安定に陥ってしまう。簡単にいうと、その繰り返しが双極性障害のメカニズムだそうです。
エンタメビジネス界に限らず、双極性障害はライフスタイルや環境要因が密接に関連しています。広末さんの告白はとても勇気ある行動。私たちも、双極性障害に陥らない程度の日常生活を送りたいものですね。

女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。