2025年5月4日(日本時間5月5日)、ラスベガスのT-Mobileアリーナで行われたスーパーバンタム級のタイトルマッチ、井上「モンスター」尚弥 VS ラモン・カルデナス。実はわたくし、現地で観戦しました。GW中、家族旅行でロサンゼルスに滞在していたのですが、片道6時間かけて、井上チャンピオンを見にラスベガスまで足を延ばしたのです。
「探偵ファイル」でもたびたび寄稿しているように、実は、私の「オシ」は、来年5月に井上チャンピオンとの「ドリームマッチ」が期待されている中谷潤人であることに変わりはないのですが、それまでに井上チャンピオンが1敗でもしてしまえば「夢の対戦」は幻に終わってしまう。だから何があっても井上チャンピオンには勝ってほしい、中谷と戦うまで、史上最強の「モンスター」でい続けてほしい、とそんな敬意を込めて応援してきました。
しかし、2ラウンドでダウンされたときは、正直何が起こったのか分からなかったです。隣にいる子どもたちは涙ぐむし、夫は歯を食いしばって顔を歪めて見つめていました。なにより、リングに両膝をついて倒れている「モンスター」の、あんな表情を見たことがありませんでした。
今までに見たことがないモンスターの表情([Number Web]より)
結果、「モンスター」が8ラウンドで完全勝利しましたし、「楽しかった!」と語る井上チャンピオンの表情を見たら、衰えも、ピークアウトも、まったく感じさせません。
一方の中谷潤人は、5月5日の試合時点でロサンゼルスに滞在し、きたる西田凌佑とのバンタム級統一戦に向け合宿中です。NBAプロバスケットボールの華麗なステップをボクシングに取り入れたり、バンタム級からスーパーバンタム級に階級を上げるための肉体改造に取り組んでいると聞きます。
来年5月の「ドリームマッチ」は,「モンスター」を継ぐ新星が輝く番。中谷が勝利し、英雄交代劇によって日本のボクシング界に新たな幕が開けることを心から期待したい。歴史的瞬間はすぐそこに。

女探偵 堺浄(さかい・きよら)
政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。