情報提供・ご意見ご感想などはこちらまで! 記事のご感想は一通一通ありがたく読ませて頂いております。

もし、アメリカ産米が大量に輸入されたら?

備蓄米、手に入りましたか? 私の近所ではなかなか手に入りません。端的に、ここまで米をめぐる大混乱が起こったのは、「減反政策」廃止以降、農家が自由に作付けを決められるようになったため、政府が米の生産量を把握しにくくなったことが原因です。需給の関係を的確に把握できない反面、かといって米の輸入を規制しているため、自由競争がない特殊な環境のなかで、需給のバランスを把握できないという二重の足枷を生じさせています。

こうしたなかで、「農協」は閉鎖的な流通網を守るために競争を避け、米を「特別な作物」として囲い込んできた既得権集団の象徴。と、都心部ではそうみなされているといって差し支えないでしょう。この「古い体制」に風穴を開ける「象徴」となったのが農水省の天敵・小泉進次郎です。

この日本のバタバタ劇をトランプ大統領が見逃しません。彼の次の狙いはここか? 例えば、「日本は米国のコメを受け入れていないが、深刻なコメ不足に陥っている」。これは、アメリカ産のコメを大規模に輸入せよ、といった外圧の初動に他なりません。

 

イラスト:ほしのころも

 

しかし、かといって、アメリカ産のコメが日本に大量に流通するようになったらどうなるでしょう? 「アメリカ産特売セール」がはじまれば、国産米との競合になるでしょう。国内メディアは、ここぞとばかりに「国産米離れ」と煽るはず。

冗談ではなく、これは日本の農家にとっては深刻な危機になります。手間ひまをかけて育てた米が値崩れし、出荷先を失った農家が抗議デモを開く光景が目に浮かぶ…農協は政府を痛烈に批判し、農政トップの辞任要求が噴き出すでしょう。

他方、都市部では「もう高い国産にこだわらなくていい」「家計が助かる」と肯定的な声も上がるはず。アメリカ産を購買する消費者と、国産米を擁護する消費者との間で、SNSでも激しい論争が起こり、分断は免れません。

あなたは、これまで通りの農協中心の米生産か、アメリカという外圧による競争的な市場か、どちらがよりよい日本になるとお考えですか?

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

タイトルとURLをコピーしました