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女性議員って「クリーン」なの?

 先日の東京都議会議員選挙では大きな変化がありました。自民党が議席を33から21へと大幅に減らし、第一党の座を失いました。国政選挙の前哨戦ともいわれる都議会議員選挙の結果だけに、自民党はこのまま夏の参院選でも苦戦を強いられるでしょう。

 そんななか、目立ったのが女性候補の躍進です。女性候補は過去最多の99人に達し、全候補者295人中の約33.5%を占めました。なぜでしょうか。

 もちろん、政党が女性候補の擁立に取り組んできた成果でもありますが、これまでにも、突然女性の立候補が増加した例がありました。1980年代の「マドンナ旋風」や、2000年代初頭の「小泉劇場」です。いずれも背景には、リクルート事件や佐川急便事件といった、自民党政権の政治スキャンダルがありました。今回の都議選も「政治とカネ」問題が浮上し、腐敗した政治を市民の手に取り戻そうとする流れのなかで女性の立候補が促進される、典型的なパターンといえます。

 しかし、女性は本当に潔白で清新な存在なのかといえば、そうではありません。勘の良い読者の皆さんならご存知でしょうが、政治資金の私的流用で「ガソリーヌ」と呼ばれた山尾志桜里、「このハゲー」と暴言を吐いた豊田真由子、交通違反12回、免許停止処分4回という「無免許議員」木下富美子も、いずれも女性議員です。

 女性だからといって特に高潔なわけでも、清新なわけでもありません。ですから、これ以上「女性=クリーン」というステレオタイプを持ち出して女性候補を擁立するのはやめましょう。そんなやり方は一時的なブームに過ぎず、ブームが去ったり、女性議員にスキャンダルが起これば、失望や炎上がより激しくなるばかりです。

 女性議員も人間です。怒ったり、叫んだり、ときにはハンドルも切りそこねたりもします。腐敗政治を変える救世主は、性別で決めるものではありません。むしろ「女性=クリーン」という期待の押しつけは、本人にも政治にも害を及ぼす「無免許運転」のようなもの。

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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