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山尾志桜里の「悪評」を過小評価した国民民主党・玉木代表へ

選挙のとき、候補者のポスターや選挙公報に記載されている「○△党公認」という標記。どこの政党が「公認」した候補者なのかは、投票時の重要な情報ですよね。

政党にとっても誰を「公認」するかはとても重要です。どこの政党も芸能人や文化人を「公認」したがるのは、対立候補よりも知名度がある、強い候補者を「公認」したいからです。とりわけ自民党で2世3世の候補者が「公認」されるのは、すでに親や祖父の時代からの支援者や人脈が豊富であるため、票やカネといった「政治的資源」が豊富で、当選しやすいから。

しかしこれは自民党に限ったことで、政治権力の継承が難しい野党は、他の党の政治家や芸能人の知名度に頼ることになります。山尾志桜里の一件も、国民民主党・玉木雄一郎代表が山尾の知名度を求めたからです。しかし地方議員からの反発は強かった。すったもんだの末、都議会議員選挙直前に「公認取り消し」に踏み切ったのは、党へのダメージと山尾の勝算とを、そろばん勘定した結果でしょう。

振り返ると、議員時代の山尾は問題が山積みでした。不倫疑惑および不倫相手妻の自死、「地球5周分」と報じられた政治資金によるガソリン代不正使用、国会議員パスの私的流用などなどはどれも悪質です。その時につけられた「ガソリーヌ」というあだ名は、本人からしてみれば不本意でしょうが「言い得て妙」でした。

玉木代表(Wikipediaより)

玉木の判断ミスは、山尾の知名度に目がくらみ、悪評を過小評価したことに尽きますが、世界の民主主義国家に目を向けると、多かれ少なかれ、知名度勝負の選挙はもはや当たり前になりました。私は、別に芸能人であろうと、世襲であろうと、社会を変革しようという気概があればいいと思います。しかし最近の候補者は、あまり変革に向けては動かない。それどころか、政党幹部に評価されたい、権力を追求したい、という思いが非常に強いため、党内や永田町の論理に隷属することにとらわれているように思えます。そんなことでは、この国は静かに、しかし確実に滅びていきます。玉木には、日本が腐敗と無気力の沼に沈む前に、政治を生まれ変わらせられる、異次元の候補者を擁立してほしい、と心から願います。

 

 女探偵 堺浄(さかい・きよら)

政治家を経て、生成AIやITを駆使し過去の事件を分析する女探偵に。社会科学領域の研究者(慶應義塾大学大学院を経てPh.Dr.)でもある。掘り下げたいテーマは、女性はなぜ政治の世界で「お飾り」になるのか、日本の「タテ社会」と「ムラ社会」は不変なのか、内部告発は組織の不条理に抵抗する最終手段なのか。

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