●更新日 10/13●











台風
   渡邉文男









安政3年(1856年)江戸を襲った台風は死者10万を超えたと記録がある。
それ以前も数えきれないほどの被害を受け続けた日本。一度だけ日本を救った台風がある。元の軍隊を10万人殺した有名なアレだ。
現代風に言うと「猛烈な台風」が来襲したら1万人以上の死をもたらしてきた台風。今と違っていきなり台風が来るのだから防ぎようがなかった。
「気象観測」が可能になって、昭和34年の伊勢湾台風の約5000人をピークに、被害者数が激減してきた。
最大の転換点は、気象衛星ひまわりが1977年に打ち上げられてからだろう。
それまでは、アメリカなどからもたらされるアバウトな情報や、それこそ漁船が転覆したとかの報告から台風の存在を知った。私の子供の時は、小学校の授業中に強い風が吹いてきたので先生があわてて生徒を家に帰していた。自宅にたどり着けなくて神社や友達の家に避難したことも数えきれない。
夕焼けが綺麗だから台風が来るかも、なんて子供ながらに予測しあっていた記憶もある。

今は、テレビ各局が詳細な天気予報を垂れ流している。
そのおかげで、死者は数えるくらいに激減した。広島のように、過去に何度も土砂崩れがあった土地にあえて家を建てて被災に会う人々を除いては、よっぽどのことが無ければ死ぬことは無い。台風が大好きなアホなサーファーは死んでも仕方が無いが。
それでも怪我人が出るのは台風をなめているから。強風が吹いているのにテレビに映っている人たち。街の看板が凶器になると思わないのだろうか。風速40メートルで飛んでくる看板を避ける自信があるのだから凄い。





BOZZ








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