お寺でお祓いを受けたワンピースは、劇場の倉庫の奥底に眠っている。 私は劇場マネージャーに連絡をとり、恐る恐るワンピースを譲り受けた。
 とうとうご対面だ。もう引き返せない。 私は最初に女子学生が手に入れたワンピースの出所、秋田のリサイクルショップに向かった。
 私は店の女主人にすべての事情を話し、呪われたワンピースを見せて直談判を開始した。 この服の仕入れ元を教えて欲しいと。
 女主人は最初こそ疑い深かったものの、当時の仕入れ伝票をひも解き、 記録していた売主の氏名、住所を見せてくれた。
 平成六年五月十六日、I町の主婦がこの店に若い女性の着用していた服を八着持ち込んでいた。 この中にワンピースがたしかにあった。
 私はI町の主婦宅に向かい、ワンピースを見せ、一連の出来事のすべてを話した。 このワンピースは自殺した娘のものであることがわかった。 主婦はこのワンピースを抱きしめ、号泣しながら娘の残した遺書を私に見せてくれた。 内容は凄惨でひどく酷い。
 私はこのうえない怒りを感じた。