Cさん(七十八歳)

「家の前には以前橋があって、無人踏切から国道を渡って、海岸線まで出れるようになっとった。二十メートルほど西にも踏みきりがあり、そこには駅員さんが旗で汽車の通過を知らせてくれるが、ここは自分で左右確かめて渡ったもんよ。じゃが、事故があんまりにも多い。

ワシが覚えとるんは、一つは十九歳の韓国人。汽車にだいぶ引きづられていったよ。もう一つは魚釣りの人がはねられたこと。あとは小学二年の男の子。まだまだいたが、あんまり多すぎて覚えとらん。

事故が多いもんで、今から二十年くらいまえに、木の柵(通称:通せんぼの柵)を路線の両側につけたんじゃが、それでも超えて渡って汽車にはねられる。それで、橋を壊したんじゃ。その先がカーブになっとるけ、汽車の音も聞こえんし、姿も見えんからのお」


ロケーション的に事故を呼ぶ要因もあるだろうが、これだけ事故が度重なるのには他に何か理由があるのではないか。

私はそれを求めて調査を続けた。そして、この女性に行きあたったのだ。