話を聞いているだけで、つま先から寒くなってきた。彼の立ち振る舞いは、その怨念の欲求を反映しているのか。
「社長は悪霊に憑依されない力がありますから、明日の調査はいっしょに行きます。私が行けば、社長にもその霊が見えるでしょう。それと、今の奥さんが心配です。祟った後は、かならず取り殺そうとするはずだから」
別居中でも危ないのか? と聞くと、これだけ強力な怨霊だと、まったく知らない人のところには行けないが、知り合い、とくに縁者のところへはいつでも行けると言う。

次の日の夜、里見さんを連れて現地へ行った。