●更新日 12/28●
朝比奈、高速道路の老婆
先日、朝比奈峠の話を掲載したが、朝比奈では他にも様々な心霊現象が起きている。 上司の父親が亡くなり、そのお通夜の手伝いをする事となった。 逗子にある上司の家に行く為、車2台で首都高から横浜横須賀道路を乗り継いで行く事に。 道は空いていて順調に進んでいたのだが、朝比奈ICに差し掛かったその時、 右側の山からぼろ切れを纏ったようなばあさんが飛び出し、先行する上司の車の屋根に飛び乗ったのだ。 朝比奈IC周辺 「危ない! なんなんだ、あのばあさん!」 そのあまりに危険な光景に、同乗していた同僚2人(仮名:B、C)とAはパニックを起こしてしまった。 クラクションを鳴らし上司に合図を送るのだが、運転中の上司は気付く気配がない。 「このままじゃやばいだろ……。なんとかして車を止めないと、あのばあさん落ちちまうぞ……」 しかし、上司の車がトンネルに差し掛かったその瞬間。 ばあさんは消えていた。 朝比奈と逗子の間にあるトンネル 「おい……あれって…もしかして幽霊か?」 目的地に着いた時、この不思議な出来事を上司に伝えた。 しかし 「そんなことがあるわけないだろう。こんな日に、縁起の悪い話をしないでくれ」 と取り合ってもらえず、仕方なしに3人は通夜の手伝いを始めた。 しかしどうしても気になる3人は、休憩用の部屋に集まり話を続けた。 「やっぱりさっきのって……」 Aが怖々話し始めると、Bが 「だろうな……」 と頷いた。 しかし、なんにでも首を突っ込みたがる性格のCだけは、 「あんなにはっきり見えたのはじめてだよ」 と、どこか嬉しそうな表情だった。 「でもさ、なんであの車に飛び乗ったんだろ?怨みでもあったのかな?」 そう、Cが話した時、 「お経を聞きに来たんじゃないですか?」 聞きなれないしゃがれた声が、3人の後ろから聞こえてきた。 驚いて振り向くと、そこに居たのは黒の和服を着た品の良い老婆。 「きっと、成仏したくて、お経が聞きたくて、一緒に連れて行って欲しかったんですよ」 「……そうですか」 Aが気のない返事で答えると、老婆は小さく会釈をし部屋の奥で腰を下ろした。 「それにしてもあの幽霊、僕らが葬式やるってよくわかりましたよね」 Cがそう発した途端、3人はとある違和感を感じた。 …………。 少しの沈黙の後、Aが声をあげた。 幽霊の話なんかしてないのに、何であのばあさんそんな事知ってんだ? 誰だよ、あいつ! 振り向くと、その老婆の姿はなかった。 |
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