●更新日 09/09●

渡邉文男のショートホラー2


びっくりしました。数日前にあげた記事がずっと高いアクセスを維持しています。みなさん怖い話が好きですか?


5年前、京都のホテルでの出来事です。
先斗町に近く、有名な河原のそばにあり、何故か窓に鉄格子がはまっているホテルと言えば、地元の人ならすぐにピンと来るはずです。
出張で園田と泊まりました。
建物が古く、まるで病院のような薄暗い廊下。
午後10時頃、園田の部屋に本を取りに行きました。
ふと部屋の入り口近くにある衣装鏡を見たら、見知らぬ中年(35歳くらい)の女性がいました。









机に座り、バッグの中の物を一生懸命に探している風に見えました。
でも


音が聞こえないのです。


この世の者ではないことがすぐに分かりました。
ベッドに寝そべっていた園田が私に気づき、入り口まで来ました。
その女の真横を通って。
私が鏡を擬視しているのを見て、園田は言いました。
「何かいるんですか?」
私は
「いや、何でもない。」
本を受け取り、自分の部屋に戻りました。

数分後。

けたたましくドアをノックされました。
開けると、半泣きの園田が立っていました。
「やっぱり何か見たんでしょう?怖いからBOSSの部屋で寝かせてください!」
『こいつ、うちで一番の怖がりだからな・・・』
仕方なく、部屋に入れました。もちろん、何度尋ねられても見た事は言いませんでした。
言ったら最後、園田はこのホテルから逃げ出したに違いありません。



そうそう、書き忘れてました。

その女の探し物は









男からの手紙でした。


手に取って嬉しそうに笑いました。
きっと未練が残ってあの部屋に縛られているんでしょうね。



深夜にホテルの鏡を見ないでください。



渡邉文男


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