●更新日 11/18●

警備会社と怪奇現象と


警備会社というものがありますよね。

ここで言う警備とは、交通規制で誘導灯振っていたり、スーパーの駐車場にいる警備員さんじゃありません。

物件の安全管理をしていて異常があれば駆け付けるという、テレビなどでお馴染みのセコムやALSOKの方です。今からするお話は、大手警備会社Sに勤める関口さん(29歳仮名)から伺った怪奇現象。

というのも、大手警備会社の物件はラーメン屋もあればパチンコ店もあるし、お墓や処刑場跡地に建てられたビルなんかもありますから、それはもう怪奇現象に溢れているワケで・・・。


S社では、基本的に異常の有った物件には一人で対処しに行くそうです。理由は大勢だと油断が生じるとか色々あるみたいですが、ここでは関係ないので割愛します。

ただ、S社の物件名簿(カルテだとでも思ってください)に唯一「特記事項・必ず2名対処のこと」と書かれている物件が存在します。

それは火葬場。

夜の火葬場になんて警備員じゃなくても行きたくないですが、元々火葬場も一人対処だったそうです。それが、30年とも20年ほど前とも言われる過去に起きた事件から2名対処に。

その事件とは・・・?


とあるペット専門の火葬場がS社の取扱い物件だったそうです。

ある夜、配線が切れてしまったらしく、断線異常がS社に知らされ某支社のKさんが異常対処に向かうことになりました。

見取り図と断線している場所を見比べた所、どうも天上裏らしい。

火葬場の天上裏なんかに入りたくないと思いつつも、断線自体は大したことなかったので線と線を繋げるべく新品の線を持ってKさんは天井裏に上がりました。


本来だったら30分からどんなに長くても1時間半もあれば終わるはず。そう、終るはずでした。

3時間経ってもKさんから終了報告がセンターには行かなかったのです。

その頃、支社で待機していた別の隊員は、Kさんの帰りが3時間以上経っても戻って来ないとあまりにも遅いので訝しんで様子を見に行くことに。

様子を見に行った隊員は、火葬場に入ると天井裏に上がった形跡を発見。

自分も登ってみると、電気が点いていない暗闇の中から


「ニャァ、ニャァ・・・」

「ワン・・・・・・・・・・・・ワン・・・・・」


犬と猫と思わしい声が小さいながらもしたそうです。

肝が潰れながらも、気のせいに違いないと「K!どこにいるんだ、K!!」と声を出すものの全く返事がない。

そしてまた、静寂になると犬猫の声が・・・。

すっかり狼狽した隊員は本部に電話を入れ、多くのS社の隊員が火葬場に駆け付けることになりました。

火葬場中を捜そうという話になっていた所に、フラフラとKさんは戻ってきたそうです。


「どうしたんだ!」


と隊員達が駆け付けたところ、


写真

Kさんの顔や首筋には猫と思わしき引っかき傷が無数に存在し、体中に犬猫の毛が大量に付着・・・!


Kさん自身は全く生気の無い顔だったそうです。

そのまま病院に直行することに。検査の結果何も異常ないとのことだったので通常業務に戻ったのですが、それからのKさんは日増しに言動がおかしくなりました。

猫を見ると異常に興奮し、生の魚をそのまま食べるようになり、遂にはまともな会話すらも不可能に!

事態を重く見たその頃のS社の重役がKさんを御祓いに出したそうですが、その後のKさんの消息は誰も知りません。

依頼退職になったのか、どうなったのか・・・。真相を知る者がどれだけいるのかは不明です。


ただ、その頃からS社が受け持つ、全国の火葬場の物件には


「特記事項・必ず2名対処のこと」


この項目が書かれるようになりました―――



西垣 葵写真


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事