●更新日 11/20●

記憶(百物語)


3年ほど前の話です。
私は当時のバイト先で仲良くなった、同い年の友人とドライブするのが趣味でした。


季節は夏。この時期のドライブと言えば、やはり心霊スポットと相場が決まっています。
その日は別の友人と女の子一人の、系4人でのドライブでした。
目的地は大阪、裏六甲にある病院跡地。
地元では有名な心霊スポットでした。
その場所は元精神病院で、原因不明の大火事で患者の多くが亡くなり、しばらく放置されていましたが心霊スポットとして有名になってしまい最近建物が取り壊されたらしい、とのことです。
しかしながら「出る」と噂の地下はそのまま残っているのです。
友人は元々怖いもの知らずで霊も信じない奴で、目的地に着くや否や懐中電灯を片手に地下へ降りようとしました。


写真


しかしそこでアクシデントが。

女の子を驚かせよう、と言うアイデアで、その子には目的地を告げず連れてきたので、そこが心霊スポットと知るや怖がり、泣き出してしまったのです。
仕方が無い、とその日は地下への入り口を見ただけで、帰ることになりました。



それから暫く。



その友人が大学で忙しくなったため、一月ほど会う機会が無く久しぶりに飲みに行こう、と誘われて会って見て驚きました。


顔色が悪く、心なしか痩せたように見え、酷く疲れたような顔をしていたのです。
どうした、と聞いたところ最近変な夢ばかり見る、と言うのです。


その夢の内容はなんとも異質で、まず自分が、ある女性の記憶をその女性の視点で見ていく、と言うものなのだそうです。
女性は精神に異常があるらしく、病院で暮らしていて、しばらくは病院での生活の記憶なのですが、ある時事件が起きます。


大人数の医者や患者の男が、その女性が抵抗しないのをいいことに、集団で暴行、レイプに及んだのです。


その記憶を見ている友人には、その女性の心の声が聞こえたそうです。


はじめは「いや」「やめて」「助けて」と言う恐怖。


そして段々と、その恐怖が真っ黒い憎悪で塗り固められて、




写真


「殺してやる」「殺してやる」「殺してやる」


いつもそこで、汗びっしょりになって飛び起きるそうです。
詳しく話を聞くと、
あの心霊スポットに行った数日後、好奇心が抑えられなくなり別の友人と今度は地下の奥まで、行ってしまったらしいのです。
その夢は、その後から見るようになった、と…



治親


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