●更新日 11/21●
動く日本人形(百物語)
これは、私の友人であるA君のお父さんが、小学生のときの話。
A君のとある親戚の家には、動く日本人形があるというのです。
お彼岸に、その家に親戚一同が集まる事になり、A君のお父さんも同行しました。
夜も更けて、酒の勢いもあってか、親戚のおじさんたちは、
「肝試しじゃけぇ、いってこぉ」
とA君の父を囃し立てたのです。前から少し興味を抱いていた彼は好奇心に動かされて、人形がある部屋に行きました。
部屋の奥には端正な顔つきの日本人形が一体。
しかし、人形は突っ立って壁によりかかったままで、とても動こうとはしなかったのです。
しばらく眺めていましたが、別段おかしな所もない。
所詮そんなものか、と彼は部屋を出て、その事を親戚の人たちに報告すると、彼らは一気に青ざめ、言ったそうです。
・
・
・
・
その人形は、座っているはずだと。
A君のお父さん共々慌ててそこに戻ると、人形は座ったまま微笑んでいたそうです。
ET
選考:百物語制作委員長 渡邉文男 (賞金50万円 詳しい応募方法はコチラ)
|