●更新日 12/07●
あるタクシーの怪異
タクシーの運転手さんは怪奇現象に遭遇する確率が高いという話を聞いたことがあります。
びしょ濡れの女性を乗せたら、気がついたら水だけが残ってたとかは典型ですね。
昼夜構わずに人と接しているとやはり多いのでしょう。
乗せた人が本当に人間だったか解らないというのは。
これは懇意にしているタクシーの運転手さんから聞いた話なのですが・・・
東京のある場所で走っていた時、身なりのしっかりした女性を乗せたそうです。
ただ乗った時にもの凄い血の匂いがしたとか。独特の鉄分を含んだ、あのすえた匂いが。
チラっとミラーで確認しても別にどこも怪我はしていないし、少し話していても受け答えはしっかりしている。
見た目どこも変な様子はないけど、むせ返るとは言いすぎではあるけどする血の匂いはやはり後ろから匂ってくるそうです。
気のせいでもないし、一体・・・。
「この血の匂いは何ですか?」と聞くのも失礼だし、と思いながら走り続けること20分。
そろそろ匂いにも慣れてきた時、
「ここでいいです、ありがとう」
ようやくこれで開放されると、運転手さんは思ったそうです。
一体何だったか解らないけど、血の匂いからようやく開放される・・・と。
女性に値段を告げると、1万円札を渡されました。
お釣りを渡そうと、お金の入った袋をゴソゴソし始めると
「お釣りはいいわ。掃除もあるでしょうから」
と降りて歩き出してしまったとか。
何、掃除? やっぱり血の匂いは本当に血!?
だけど後ろを向く限りでは後部座席のシートは何でもない。
運転席を舌打ちしながら降りて、見てみると・・・
「ひえぇぇ!!」
何と、座席の足元の部分が水溜りが出来るくらいまでの血でびちゃびちゃでした。
何なんだ、これは!と思いながらも、この血は一体誰の血? あの女性??
そう思いながら女性の降りて行った先を見ても女性は既にいないし、道路に血が零れてるということもない。
じゃぁ、一体・・・
気味が悪いながらも営業所に戻り、掃除をしようとドアを開けると不思議なことに血なんて座席の下にはない。
匂いもいつの間にかしないことにもその時気付いたそうです。
足元のシートに吸収された?いや、馬鹿な。
頭の中がぐちゃぐちゃになったそうですが、とりあえず戻ったことだし売り上げ集計をしようと今日の売り上げを照らし合わせると・・
無かったそうです。その女性から貰った一万円も。
このタクシーの運転手は一体何を乗せて走っていたのでしょうか・・・
西垣 葵
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