女家系の一族
鬼切丸という漫画で、「結城」家という設定があります。
男子が全く生まれない家系で、男子が生まれて来た時は周りの女性を鬼に堕とす能力を持っているとか。
こんな能力はさておいて、男子が全く生まれない家系があると聞いたので、取材に行ってきた時の話です。
まぁ、Yさんとしましょうか。
取材に応じてくれたのは、長女の美香(仮名)さん。
今の家には彼女と母親がいるだけで、祖父は彼女が生まれる前に死に、父は美香さんが5つの時に病気で亡くなったとか。
西垣「でも、お父さんやお祖父さんはいたんですよね?」
美香「全て、婿入りなんです。私の家って、地元では名士で通っていたらしく・・・あ、今は私達だけ越してきたんですが、Y家の家系を絶やしてはいけないということで男子が誕生しなくても婿入りをさせてたそうです。お父さんもお祖父ちゃんも、ひいお祖父ちゃんも全て婿入りです」
西垣「その三代、男子は一回も生まれなかったんですか?」
美香「はい、そう聞いています。あ、ただ母が私を生んで暫くした後に妊娠したんですよ。妊娠して暫くすると、性別が解るじゃないですか。調べた結果、男だったという時があったらしくて、その時は家あげてのお祭り騒ぎになりましたね」
西垣「その男の子は・・・?」
美香「生まれる前に流産したそうです」
親族の期待はとても大きかったらしく、その期待に応えられなかったと親戚達に責められた美香さんの母親は心を病んでしまい、逃げるように地元から今の家に二人で出てきたとか・・・。
西垣「でも、それだけでは呪いというわけでは・・・。確率は低いですが、3代に渡って女性しか生まれないというのもありますよ」
美香「親戚・・・ようするにお祖母ちゃんの兄弟や、お母さんの兄弟ですが・・・全部、女なんですよ?女ばっかり20人も生まれる確率って、どれくらいですか?」
その後、彼女は私に言いました。
美香「こう続くと、私も結婚した時に生まれる子供は女の子なんじゃないかな・・・と思います。まぁ、それでもいいかな、、と。私もお母さんも本家を追い出されたようなものだから関係ないだろうし。あはは・・・」
私は、、、
西垣「もしも、です。もし、美香さんが数年後に結婚して、男の子を出産したらどうなりますか?」
美香「本家には絶対秘密ですね。もし知られたら、取られちゃうんだろうなぁ・・・そんなこと無いなんて言えないですよ」
そう言う彼女の顔は、全く笑っていませんでした。
こういった漫画の世界だけかと思う家系が世には存在し、その裏で悲しみ、傷付いてる人も確かにいる―――
西垣 葵
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