混線した留守電
混線とは読んで字の如く、電話での通話が何らかの事情で混ざり合ったり、ノイズが出たりすることなのですが、今回は宮本さん(仮名)が体験した、ちょっと不思議な話。
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ある日の夜、その出来事は起きました。
いつも通りにしていれば、別に気付かなかったかもしれません。ゆえに、いつも起きていたのでは・・・と思うと寒気がします。
私は普段寝る時と働いている時は携帯の電源をオフにしています。まぁ、仕事先は私用電話禁止だからというのもありますが。
寝てたところ、携帯の呼び出し音で目覚めました。普段私の眠りは深く、別に携帯の呼び出し音くらいでは目を覚まさないのですが、この日はたまたま夜更かしをしていたせいか、寝も浅かったのでしょう。
それよりも、「おかしいな。電源切ったはずなんだけど」という不思議な気持ちの方が強かったです。
誰だ一体と思いながら液晶を見てみると、何も表示されていない。
なので、通話を押しても保留を押しても、うんもすんも言わない・・・。電子音だけが鳴り響いています。
仕方ないので電池パックを外して電源を切り、故障かなと思いながらまた床に入るのでした。
翌日、仕事先に行く準備をする為、朝食の支度をしながら携帯の電源をオンにしたところ、留守番電話の表示が。夜中に誰か掛けてきたのだろうと、留守番電話につなげると・・・
「こちらは留守番電話サービスセンターです。新しいメッセージは一件です。○月○
日午前1時47分・・・」
2時前? 2時前は確か、あの呼び出し音がなっていた頃では・・・
電話から聞こえてきたのは、「助けて!あいつが入ってくる!ドアの前にいる!助けて!早く来て!!」と叫んでいる女の声。
一体、この留守電は・・・? 気味が悪くなりながらも、誰かの悪戯だろうと思って・・・というか、それしか思いようがありません。
朝の牛乳を飲み干しながら、ふとテレビに目をやると・・・
「今日未明、○○市××町にて、女性が自宅で男に刃物のようなもので刺され死亡しているを近隣の通報により発見されました。死亡したのは岡崎美香さんで、調べによると・・・」
今日未明? 自宅で刺し殺された??
まさか、この留守電は・・・? そんなはずはないと思いながらも、さっき飲んだ牛乳が逆流してくるのだった。
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混線は、何も電波状況だけにおいて起きるのではないかもしれません。
思いが、叫びが、他者と繋げてしまうことだってある――
西垣 葵
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