●更新日 09/19●


未来人ジョン・タイターの予言(前編)


ノストラダムスを「乗せたらダマス」と皮肉ったのは漫画家の鴨川つばめだったが、世紀末には随分と不安な気分にさせられた。とかくいつの時代も人心を不安に陥れる予言者はいるものである。21世紀の現代、我々を納得させうる可能性をもった予言者が出現した。その名はジョン・タイター、2036年という未来からやってきた男である。この男は、稀代のペテン師なのか、それとも?

思い返せば、ノストラダムスの予言のインパクトは凄かった。五島勉氏の大予言シリーズを愛読していた筆者などは、子供時代から「所詮、自分は30代で死んでしまうのだ」と深刻に悩みぬいたものである。幸い筆者の場合、学生時代のうちにノストラダムスの呪縛から目が覚めたのだが、大勢の人が真剣にハルマゲドンを考え、千年に一度の節目である1999年を迎えた。
正直、結論としては、何も起きなかったし、恐怖の大魔王も降ってこなかった。見方を変えれば、阪神大震災やサリン事件などがハルマゲドンであり、北朝鮮が放ったミサイル(彼らは人工衛星と主張しているが)が、恐怖の大魔王とも解釈できなくはないが、世界的な規模の災害ではなく、的中したとは言いがたい。そもそも、いかようにも解釈できるノストラダムスの抽象的な詩を、“予言として深読み”するのがまやかしであって現代ではまったく説得力を失っている。

歴史的に見ると西暦1000年を迎える直前の999年にも世紀末思想はあったらしく、仏教における末法思想のように人間は、節目の年に終末思想を信じがちな生き物なのだ。2000年11月、予言さえも信じないクールな現代人の前に、とんでもない予言者が出現した。彼の名前はジョン・タイター、アメリカ人で2036年の未来からやってきたというのだ。このジョン・タイターはアメリカのオカルト掲示板に出現し、未来人としてこれから起こる事、未来の生活スタイルに関して回答した。
このジョン・タイターの出現は全米のオカルトファンの間で話題となり、数多くの質問や批判が寄せられたが、2001年3月24日任務は終了したとして未来に帰還してしまった。(無論、客観的に誰かが帰還を確認したわけではない)本当にこの予言は、あたるのか、全米のオカルトファンが注目する中で、タイターの予言は的中していく。

2000年11月2日に「約一年後にはCERN(欧州原子核研究機構)でタイムトラベルの基礎研究が始まり、2034年に初の「タイムマシーン」の完成により研究は完了する」とジョンは予言したが、2007年よりCERNは、陽子ビームの加速実験を開始することを発表している。当然だが、この研究の延長戦上には、タイムトラベルの可能性が秘められている。更に、2001年2月2日には「IBM5100はAPLやBASICが普及する前に書かれたIBMのプログラミング言語を解読できる能力を持っています」とジョンは断言したが、これはジョンが指摘した当時、一般には普及していない知識であった。

それだけではなく、彼が姿を消した後も続々と予言は的中しているのだ。「ローマ法王の交代(2001年2月8日予言 2005年4月19日に的中)」「ペルーの大地震(2001年2月8日予言 2001年6月23日に的中)」「中国の宇宙進出(2001年2月19日予言、2003年10月15日的中)」「第二次湾岸戦争(2001年2月25日予言 2003年3月19日的中)」「狂牛病(2001年3月24日予言 これは現在的中)」と多くの事例を見事に的中させている。
無論、反論がないわけではない。IBMの問題やCERNの研究項目に関しては、関係者から聞き出せば(或いはハッキング、盗聴)的中させることはやぶさかではないし、ローマ法王の年齢から考えれば、交代は容易に予測できたであろう。中国の宇宙進出も、イラクへのアメリカの侵攻も経済学者・政治学者による学術的予測により想定できる内容だというのだ。

なおはずした予言もある。「2000年問題で世界的なトラブルが起きる(1998年4月27日に家族に予言、的中せず)」「第二次アメリカ南北戦争(2000年11月7日 的中せず)」この二つは見事にはずれた。だが、ジョンは巧妙である。つまり、歴史の流れというものは一本ではなく、様々な未来があって、様々な過去と繋がっている。それ故に自分がネットで発言したり、タイムトラベルすることで未来が変わると主張している。流石、未来人は頭が良い(笑)


山口敏太郎



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