●更新日 12/18●
謎の類似性?和歌山・千葉・四国を結ぶ謎とは
昨今、県民性がバラエティなどで取り上げられて話題を集めている。四季の移り変わりに恵まれ、山海に囲まれた我が国は土地によって様々な風習が残されている。逆に隣接していない複数の県が、不可思議な一致をみせることがある。筆者は20数年程前に、大学に通うため、地元の四国・徳島県を離れて千葉県へとやってきた。そしてあることに気がついた。徳島県と千葉県は県民性が似ているのである。また学校でも、和歌山県、静岡県、茨城県の出身者とは妙に気があった。不思議に思ったのだが、ある1つの可能性が頭に浮かんだ。それはどの県も黒潮の流れに沿った地域であるということだった。
気になった筆者は年配の民俗学の研究家に話を聞いてみると、「千葉の阿房は、四国の阿波と同じ黒潮の民が作った国だから感覚が似ているのだよ。だから黒潮に沿った都道府県のものと気があうはず。かつて日本には黒潮に沿った海の民の文化圏があったからね」このような答えが返ってきたのだ。つまり、黒潮の流れに接した県に住む人々は、黒潮に乗って船舶で移動するため、自然と感性が似てくるという見解である。
調べてみると黒潮文化圏には、県民性だけではなく地名にも一致も見られることがわかった。特に千葉県は紀州・和歌山との地名の重複が多いようである。例えば、千葉の勝浦に対して、和歌山には那智勝浦町が存在する。またサファリパークで有名な和歌山の南紀白浜に対して、千葉には白浜町がある。他にも伊豆と千葉の間でも地名の一致がいくつか見られる。ちなみに鰹節の製造法や漁業の仕方は、四国から千葉へと伝えられたと言われているそうだ。ここまでの一致を見ると、もはや偶然の一致で済ますことは出来ないであろう。
最近、山の民であるサンカは、サンカに関連する著作が発行され、研究が進められようとしている。しかし海の民に関する研究はまだ少なく、謎の部分が多く残されている。これからの研究に注目したいものである。
山口敏太郎
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