●更新日 01/20●


テーマパークの親子幽霊


子供たちに人気のある某テーマパークでの出来事である。




このテーマパークには、何時間も待つ人気のアトラクションがある。
実はそのアトラクションには奇怪な噂が付きまとっている。

ある場所に親子の幽霊が出るというのだ。


その事件は、今から数年前、スタッフA君によって確認された事から始まる。
「あの親子、あんなところにいつ入り込んだのだろう」


A君が監視カメラに映る親子の姿を確認した。
「どれどれ、あぁぁ、本当だな」


仲間のスタッフ・B君も監視カメラのモニターを覗き込んだ。親子はアトラクションの乗り物が通過するコースのすぐ脇に立っている。
「このままだと、アトラクションに接触する危険があるな」


A君は腕をくんだ。それにしても、妙だ。普通、お客が入ることができないエリアである。
「困ったな早く行って注意してこなきゃ、じゃぁ、A君、俺が行ってくるよ」
「頼むよ B君」


B君が、そのエリアに行ってみると誰もいない。
「あれ?自らの意志で出ていったのかな」


B君がそう思って、再び監視カメラのもとに帰ると

あの親子がまた映像に写っている。
「あれっ? まだ現場にいるじゃん」


また舞い戻ったのかとそのエリアにとって返す、現場には親子づれはいないのだ。
監視カメラのモニターにはうつる親子が、現場にいくといない。
これはどういう事だろう。


パニックになったB君は、A君にモニター監視を依頼した。
「おかしいな、俺がもう現場に一回行くから、監視カメラで見てて」


とA君に言い残し、再びその場所に行くが、やはり親子連れはいない。
「やはり、いないなぁ、A君のモニター監視の結果どうだろう」


B君が痺れを切らしてスタッフルームに戻ってくると、A君が真っ青な顔をして待っていた。
「やばいよ、やばいよ、B君」
「どうしたの、A君 顔色が悪いけど、モニターどうだった?」


心配するB君、モニターの前でA君が生唾を飲み込むが、その顔色は尋常じゃない。
「親子…、ああっ いたよ、いた。確かにモニター上ではいた」
「嘘だよ、俺が何度も行っても現場にいなかったのに」


不思議がるB君に、A君は途切れ途切れに説明した。
「ええ、確かにモニターの映像には写ってたんだ、でもね、B君には見えないらしんだ、周囲をきょろきょろ見渡してね」
「…ええっ ほんとに?」
「画面の中で、親子の目の前に立っているのに、B君は全然気がつかないんだ」
「なんだって!!」


顔を見合わせ、ぞっとする二人の視界にモニター上の親子の姿が映りこんだ。

親子は監視カメラの画像でしか、見れない幽霊であったのだ。


(株)山口敏太郎タートルカンパニー製作の「疋田紗也のしあわせになりたい」の撮影風景




山口敏太郎



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